2012映画

『アベンジャーズ』

『アイアンマン』(2009)以降、着々と進められてきたプロジェクト、マーベル・ヒーロー大集合映画。監督は日本アニメ文化を仕立て直してアメリカTVドラマの中で再構築してきたジョス・ウェドン。そんなどこかで観たことのあるようなギミックに満ちていながら…

『桐島、部活やめるってよ』

吉田大八監督の四作目。これまでの作品も好きだったけれど今作は別格となった。浅井リョウの同名小説の構成を大幅に改編した脚本が見事。それ以上に演出が素晴らしく、監督の要求に十二分に応えたであろう若き役者たちにも最大の賛辞をお送りたい。 物語の中…

『マダガスカル3』

シリーズ3作目。今回は物語後半でシリーズとして大きな展開を迎えることになり、そこを抜きにして語れないのだが、当然ネタバレになってしまうので正直この感想も非常に書きにくい。 個人的には今までで一番好きな作品となった。とにかく楽しい。基本的にド…

『ダークナイト ライジング』

ノーラン版バットマン三部作最終章。個人的にはノーラン版のシリアス一点押しバットマンは正直あまり好きではない。というよりクリストファー・ノーラン監督作が苦手。とはいえ、このバットマンシリーズも前作『インセプション』も文句はあれど楽しく観てい…

『おおかみこどもの雨と雪』

うん困った。様々な感情が入り乱れすぎていてこの感情に名前を付けられない。どうしたら良いのか分からずにいる。なんだこれ。たぶんもう一回観ないといけない。それでも整理はつかないような気がするが。。。すばらしい作品でした。 この作品については改め…

『メリダとおそろしの森』

ピクサー最新作。初期監督ブレンダ・チャップマンによるスコットランドを舞台に娘をモデルにした主人公の物語という発案を、ストーリー部門出身のマーク・アンドリュースが引き継いで初監督を務める。 ピクサー初の女性主人公と、これまでと違う路線を目指す…

『ヘルタースケルター』

沢尻エリカのヌードとセックスシーンをはじめ何かと話題の、岡崎京子の同名漫画を原作とした写真家・蜷川実花監督第2作。前作『さくらん』同様に極彩色な映像世界が展開されてゆくが、なにがどうと言うよりも、すべてが“沢尻エリカ”な作品。 一応「外見ばか…

『巨神兵東京に現わる』

「館長 庵野秀明 特撮博物館 ミニチュアで見る昭和平成の技」での展示物の一部として製作された短編でありながら、結果として2011年3月11日の震災から現在そして未来さえも見据えた壮大な作品となっている。 製作主旨は「特撮博物館」の展示物なのでミニチュ…

『崖っぷちの男』

冤罪で投獄された元警官が、自身の無実を証明するためにホテル高層階から飛び降り自殺を演出するサスペンス。これ以上の物語の詳細を知らずに観たことが奏功してか、思いのほか楽しめた。その意味でも序盤以降の展開さえネタバレになりかねないし、正直に言…

『少年は残酷な弓を射る』

やがて16歳を前に大きな事件を起こすことになる息子との関係に戸惑い葛藤する母親の物語を、時間軸をバラバラに組み上げてゆく。監督は『モ―ヴァン』以来9年ぶりの新作となるリン・ラムジー。母親を演じるデレク・ジャーマンのミューズ、ティルダ・スウィン…

『アメイジング・スパイダーマン』

ストーリーもキャストもスタッフもすべてを一新した“スパイダーマン”新シリーズ。『(500)日のサマー』のマーク・ウェブが監督とのことで、いったいどんな“スパイダーマン”になるのかと心配と期待を半々に観たが、これがなかなか楽しい作品でひとまず安心した…

『アタック・ザ・ブロック』

団地(!)を舞台に不良少年たちがエイリアンと戦うB級アクション。これがなかなかの快作。それもそのはず製作総指揮はエドガー・ライト。監督はコメディアン出身のジョー・コーニッシュによるデビュー作。エイリアン襲来モノとはいえ低予算作品なので、ハリウ…

『愛と誠』

1973年に連載開始の漫画「愛と誠」の再映画化。監督は尋常でないペースでジャンルレスに作品を撮る三池崇史。スタンダード歌謡曲を取り入れたミュージカル仕立てにすることで観客に1972年という時代感を強引に押し付けて、エンターテイメントとして提示する…

『ハロー!?ゴースト』

自殺願望を持つ青年の前に4人のゴーストが現れることで繰り広げられる喜劇で、脚本家キム・ヨンタクによる初監督作品。『猟奇的な彼女』のチャ・テヒョンによる1人5役も見どころ。幽霊の描写にCGを使用せず、役者の芝居で見せてゆく演出も楽しい。笑って最後…

『ソウル・サーファー』

サメに襲われて左腕を失ったサーファー少女の実話を映画化。思っていたよりストレートな物語で、主人公の挫折から再起の物語とベサニー本人によるスタントを含むサーフィン競技シーンを軸に描かれる。ベサニーの「誰かが希望を見い出す手助けができるなら」…

『幸せへのキセキ』

英国コラムニスト、ベンジャミン・ミーの実話を基に、主人公家族が閉鎖中の動物園を購入して再オープンに尽力する姿と、妻(母)の死を乗り越えてゆく過程を重ねて描いてゆく、キャメロン・クロウ監督7年ぶりの最新作。原作にとらわれない脚色部分も効果的で、…

『サニー 永遠の仲間たち』

『サニー 永遠の仲間たち』(公開中)を観る。試写のタイミングが見事なほど合わず、公開数週を経てやっとの鑑賞。評判に違わぬとてもステキな映画。とても丁寧に作られていて細部に至るまで逐一が巧い。「さあどうだ」という製作側の声が聞こえてきそうな感涙…

『ジェーン・エア』

『闇の列車、光の旅』で長編デビューしたキャリー・ジョージ・フクナガ監督の2作目は文芸大作でありコスチューム・プレイとのことで少し驚く。けれどこれが思いのほか手堅くまとまった作品となっていて、さらに驚いた。資料によると『ジェーン・エア』は劇場…

『ミッシング ID』

疑問に感じる部分も多々あるものの、悪い意味でなく普通に娯楽作品として充分に楽しめた作品。この手の作品はネタバレの基準が判らなくて困るのだが、原題が「ABDUCTION」であることやチラシに掲載されている情報の範囲から、そのほとんどがネタバレになると…

『先生を流産させる会』

2009年に愛知県で実際に起きた事件を基に脚色を加えて描いたインディーズ作品。最大の脚色は加害者となる生徒たちの性別を変更したことで、劇場公開決定のニュースが流れた時にもネット上を中心に様々な反響を呼んでいた。個人的には映画として成立していれ…

『ミッドナイト・イン・パリ』

ウディ・アレン最新作にして過去最高の興業成績を記録した作品。ハリウッド脚本家が、真夜中になると憧れの1920年代パリにタイムスリップして当時の芸術家たちと交流するという、『カイロの紫のバラ』にも似た雰囲気の作品で、これがとても楽しい。自分が生…

『ヴァージン』

“3人の女性のロストヴァージンにまつわる物語”とのことで3監督によるオムニバス。それぞれに思うところはあるけれど、最終的には2作目『ゴージャス・プリンセス!』が一番好き。友人が出演している贔屓なしでね。 「くちばっか」今泉力哉監督作品。今回の3本…

『ザ・マペッツ』

カエルのカーミットを始めとするジム・ヘンソンによる「マペット・ショー」のキャラクターたちが人間と共存する世界を舞台にしたミュージカル作品。ヌイグルミと人間が同じ画面の中で存在している様は幼児番組のようでありながら、その実とても手の混んだ演…

『ファミリー・ツリー』

アレクサンダー・ペイン7年振りの新作。とても地味な作品だけれど、心に深く沁みる素敵な作品でした。評判に違わずジョージ・クルーニーが素晴らしいのだが、彼の娘を演じるシャイリーン・ウッドリーの好演も印象深い。主人公は莫大な遺産を継ぐ富豪。でもこ…

『この空の花 −長岡花火物語』

大林宣彦監督最新作は新潟県長岡市を舞台にした過去と現在を紡いで未来へつなげてゆく物語。太平洋戦争での空襲と中越地震で亡くなった人たちのために打ち上げられる花火を軸にして語られる史実や事実を基にした物語を、劇中で謎の女子高生が書いた戯曲『ま…

『すべての若き野郎ども/モット・ザ・フープル』

モット・ザ・フープル解散までをメンバーや関係者のインタビューと当時の映像で追ったドキュメンタリー。それもよくある形式で真新しい何かがあるわけではないが、これがとても面白かった。ライブ動員はあってもレコードが売れず、解散を決意した時にデヴィ…

『幸せの教室』

劇場公開作品としては15年ぶりとなるトム・ハンクス監督2作目。自ら主演し共演もジュリア・ロバーツと、往年のハリウッド大スター共演で送る小さな映画。良くも悪くも普通の作品。まあ随所で笑えるし、説明過多でもなく、丁寧に伏線も回収してくれる。脚本よ…

『きかんしゃトーマス ディーゼル10の逆襲』

劇場用作品の中で物語が続いていることは知っていたが、過去作は未見のまま鑑賞。これが意外なほど面白かった。 疎外感から悪の道へと転落してゆくパーシーが主人公の物語。そして騙されていたことに気づいた時には世界は取り返しのつかない事態に陥っていた…

『別離』

アスガー・ファルハディ監督の前作『彼女が消えた浜辺』も息の詰まるスゴい作品だったけれど、今作もハンパない。各々で食い違う証言の積み重ねと反復がそれぞれを追い詰め、少しずつ明かされてゆく真実。その上に現代イラン社会と宗教を乗せて描いてゆく。…

『ジョン・カーター』

ウォルト・ディズニー生誕110周年記念作品だそうです。個人的にはアンドリュー・スタントン初の実写作品とのことで楽しみにしていた。が、あまりの前評判の悪さとアメリカ興行成績の悪さばかりが目立っていたので、かなり期待値を下げて観たのですが、果たし…