『少年は残酷な弓を射る』

やがて16歳を前に大きな事件を起こすことになる息子との関係に戸惑い葛藤する母親の物語を、時間軸をバラバラに組み上げてゆく。監督は『モ―ヴァン』以来9年ぶりの新作となるリン・ラムジー。母親を演じるデレク・ジャーマンのミューズ、ティルダ・スウィントンが素晴らしい。
物語の主要ポイントを台詞やあからさまな描写に頼らずに語る話術が巧妙で、作品全体を緊張感で包んでいる。また音(リズム)を用いた編集や、主人公を追い込んでゆく赤色演出も物語を強く牽引してゆく。多くの余白を残す物語構成とややスタイル先行にも感じる作品形態が、観る人によっては苦手かも。
個人的には原題を離れた詩的な日本語タイトルとポスターデザインに良い意味で騙された印象で、鑑賞後にドッと疲れながらも心震える傑作だと思う。


6月30日 公開
原題:WE NEED TO TALK ABOUT KEVIN
監督:リン・ラムジー
出演:ティルダ・スウィントン/ジョン・C・ライリー/エズラ・ミラー
脚本:リン・ラムジー/ローリー・スチュワート・キニア 原作:ライオネル・シュライバー 撮影:シーマス・マッガーヴェイ 編集:ジョー・ビニ 作曲:ジョニー・グリーンウッド プロダクション・デザイン:ジュディ・ベッカー

【ストーリー】
自由奔放に生きてきた作家のエヴァはキャリアの途中で子供を授かった。ケヴィンと名付けられたその息子は、なぜか幼い頃から、母親であるエヴァにだけ反抗を繰り返し、心を開こうとしない。やがてケヴィンは、美しく、賢い、完璧な息子へと成長する。しかしその裏で、母への反抗心は少しも治まることはなかった。そして悪魔のような息子は、ついにエヴァのすべてを破壊するような事件を起こす…。

配給:クロックワークス
2011年/イギリス/112分/35ミリ/カラー/アメリカン・ビスタ/ドルビーSRD/字幕翻訳:佐藤恵
(C)UK Film Council / BBC / Independent Film Productions 2010

公式サイト http://shonen-yumi.com/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2012-2nd/shonen-yumi/

少年は残酷な弓を射る [DVD]

少年は残酷な弓を射る [DVD]

モーヴァン [DVD]

モーヴァン [DVD]

ランキングに参加しています。もしよろしければクリックして頂くと嬉しいです。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村