『崖っぷちの男』


冤罪で投獄された元警官が、自身の無実を証明するためにホテル高層階から飛び降り自殺を演出するサスペンス。これ以上の物語の詳細を知らずに観たことが奏功してか、思いのほか楽しめた。その意味でも序盤以降の展開さえネタバレになりかねないし、正直に言って物語についてほとんど何も知らずに観た方が幾倍も楽しめることは必至なので、予告編も観ず、この感想レビューも読まずに、このまま劇場へ向かった方が良いと思う。ちなみに原題は飛び降り現場を指す警察用語とのこと。

全体的には構成の良くできた物語で、“実はね”的種明かしも楽しい。けれど終盤での物語の収束のさせ方が少し乱暴で、その無理矢理さに“ナゼ?”と疑問も残る。特に地上のマスコミや野次馬たちのドラマの欠落と雑さが目立つ。彼らが物語の枝葉に過ぎないのであればそれも構わないだろうが、彼らの存在や意思が相応に物語後半に作用してくるので、その展開が唐突に思えてしまう。結果として物語の大団円を妨げてしまっていることにもなっていて非常に残念。このそれぞれの視点の物語をもう少し巧妙に、さらにひと工夫を加えてまとめるコトができたなら、極上のエンターテイメントになっていたかもしれないと思う。
監督はドキュメンタリー出身で本作が劇映画長編デビューとなるアスガー・レス。蛇足ではあるが、近年のエド・ハリスの痩せ方が痛々しく見えてしまい、敵役には少しツライのでは。


7月7日 公開
原題:MAN ON A LEDGE
監督:アスガー・レス
出演:サム・ワーシントン/エリザベス・バンクス/ジェイミー・ベル/アンソニー・マッキー/エド・バーンズ/タイタス・ウェリヴァー/ジェネシス・ロドリゲス/キーラ・セジウィック/エド・ハリス
脚本:パブロ・F・フェンヤヴェシュ 撮影監督:ポール・キャメロン, ASC プロダクション・デザイナー:アレック・ハモンド 衣裳デザイナー:スーザン・ライアル 編集:ケヴィン・スティット, A.C.E. 音楽:ヘンリー・ジャックマン

【ストーリー】
NY、高級ホテル高層階―窓枠を越え、たった30cmの縁に立ち、飛び降りようとする男、脱獄囚ニック・キャシディ。彼は、30億円のダイヤモンド横領犯として投獄されたNY市警の元警察官。まさに、落ちに墜ちた転落人生を極めた、崖っぷちの男。ニックは自らの要求を伝えるため、女性刑事リディアを唯一の“交渉人”に指名。彼には「ある計画」があった…。スクープ狙いのリポーター、交渉人、それぞれが思惑を腹に抱えた元同僚の警官たちにダイヤ王…陰謀渦巻く中、台風の目である“崖っぷちの男”の本当の目的が明らかになる!

配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン
2011年/アメリカ/102分/ドルビーSDR/シネスコサイズ/日本語字幕翻訳:林完治
(C)2011 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved.

公式サイト http://disney-studio.jp/movies/gakeppuchi/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2012-2nd/gakeppuchi/

ランキングに参加しています。もしよろしければクリックして頂くと嬉しいです。
人気ブログランキングへ
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村