『先生を流産させる会』

2009年に愛知県で実際に起きた事件を基に脚色を加えて描いたインディーズ作品。最大の脚色は加害者となる生徒たちの性別を変更したことで、劇場公開決定のニュースが流れた時にもネット上を中心に様々な反響を呼んでいた。個人的には映画として成立していればどちらでも良いんじゃないかと思っていたのだが、果たして、この事件当事者の関係性を根本から覆すような設定変更は映画として大正解だったと思う。物語の特に前半における、観客を不快感で満たすイヤらしさは、事実通りに加害者を男子中学生としていたら成立しなかっはずだ。このただならぬ“不快さ”こそが本作の魅力なのだと解釈する。けれど当然のことながら、観客側の性別によって作品から受ける印象がハッキリと大きく変わることは確実だ。それでも性別や立場などを問わず作品を観た誰もが“ただならぬ”何かを突きつけられることも確かで、その感触を体験するだけでも充分にこの作品を観る価値はあると思う。こんな異様とも言える物語空間を作り上げる若き監督、内藤瑛亮の手腕と、主犯格の女生徒ミヅキを演じて映画デビューを飾る小林香織の存在感に感服する。


5月26日 公開
監督・製作・脚本:内藤瑛亮
出演:宮田亜紀/小林香織/高良弥夢/竹森菜々瀬/相場涼乃/室賀砂和希/大沼百合子

【ストーリー】
ある郊外の中学校に通う女子生徒たちが結成した会、名付けて“先生を流産させる会”。妊娠した先生を流産させるため、給食に異物を混入するなど度重なる嫌がらせを試みる少女たち。成熟過程の少女たちが抱える漠然とした不安と焦燥が、性に対する嫌悪感と結びついたとき、彼女たちは予想もしない行動に出る。それに“大人”として、そして“母親”として、毅然と立ち向かう女性教師。

配給:SPOTTED PRODUCTIONS 
2011年/日本/62分/カラー/16:9/ステレオ/HDV
(C) 2011 内藤組

公式サイト http://sensei-rsk.com/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2012-2nd/sensei-rsk/

先生を流産させる会 [Blu-ray]

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