『アメイジング・スパイダーマン』
ストーリーもキャストもスタッフもすべてを一新した“スパイダーマン”新シリーズ。『(500)日のサマー』のマーク・ウェブが監督とのことで、いったいどんな“スパイダーマン”になるのかと心配と期待を半々に観たが、これがなかなか楽しい作品でひとまず安心した。
線が細そうなのに芯では力強い演技をみせる主演アンドリュー・ガーフィールドによる功績も大きいと思われる。またスパイダーマンではなくそんな主人公ピーター・パーカーと恋に落ちるエマ・ストーンも魅了的。この二人の距離感の変化の機微が楽しくて、なるほどマーク・ウェブ、と妙に納得もする。
“スパイダーマン”の主軸でもある異種間遺伝子交配による特異体質のヒーローというメインコンセプトを残しながら、前シリーズのサム・ライミ版からもキャラクター設定や物語世界が大きく異なっており、今回のシリーズではかなりサイエンス色が強くなっている。まるで随所に登場する科学技術に“スターク社”のロゴでもあるのでは?とくだらぬ勘ぐりも思わずしてしまう。
娯楽作品として及第点を軽くクリアしていることは明確だけれど、個人的にはあと「もう一歩」と感じる部分も残る。2時間を超える上映時間ながら、昨今の流行だろうか、あまりに多くの視点を物語に盛り込みすぎていて、設定の処理と速い物語展開の消化に追われてしまっている印象もあった。それでも例えばクライマックス導入部での展開には興奮するし充分に楽しめる作品になっていることに間違いはない。けれど、そこまでの展開にもう一手間加えてくれると興奮と感動を備えた最高の号泣ポイントになるのに、とも思ってしまう。
ただこの印象は今後2度目以降の鑑賞時にひっくり返ることもありそうな予感もあるので、それもまた楽しみだし、素直にもう一度観たいと思える作品でもある。
6月30日 公開
原題:THE AMAZING SPIDER-MAN
監督:マーク・ウェブ
出演:アンドリュー・ガーフィールド/マーティン・シーン/サリー・フィールド/エマ・ストーン/リース・イーヴァンス/イルファン・カーン/デニス・リアリー/キャンベル・スコット/C・トーマス・ハウエル
原作:スタン・リー/スティーブ・ディッコ 原案:ジェームズ・ヴァンダービルト 脚色:ジェームズ・ヴァンダービルト/アルヴィン・サージェント/スティーヴ・クローヴス 撮影:ジョン・シュワルツマン
プロダクション・デザイン:J・マイケル・リバ 編集:アラン・エドワード・ベル/ピエトロ・スカリア 音楽:ジェームズ・ホーナー【ストーリー】
ピーター・パーカーは、ちょっとサエない高校生。両親は彼が幼いときに謎の疾走をとげ、以来叔父夫婦に育てられてきた。ある日ピーターは父の消息を探るため、オズコープ社で遺伝子を研究するコナーズ博士を訪ね、実験中の蜘蛛にかまれてしまう。ピーターの人生は激変する。蜘蛛のように自由自在に動き回れるパワーとスピード、超感覚で危険を感知する“スパイダーセンス”を身につけたのだ。ピーターはその能力で悪と闘い、、“スパイダーマン”と呼ばれるスーパーヒーローとなる。配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2012年/アメリカ/136分/スコープサイズ/全7巻/3D・2D・IMAX(3Dのみ)/字幕・吹替え/字幕翻訳:菊池浩司
©2012 Columbia Pictures Industries, Inc.Marvel, and the names and distinctive likenesses of Spider-Man and all other Marvel characters: ™ and (C) 2012 Marvel Entertainment, LLC & its subsidiaries. All Rights Reserved.
ミニパラ http://www.minipara.com/movies2012-2nd/amazing-spiderman/
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