2007-01-01から1年間の記事一覧

『ペルセポリス』

読み聞かせの絵本を観ているような作品。 モノクロ(一部カラー)のディフォルメされた簡素な絵の雰囲気とは別に、物語はさまざまな映画的手法によりスピーディな展開をみせる。1970年代末のイスラム革命から1980年代のイラン・イラク戦争まで、激動のイランを…

『アイ・アム・レジェンド』

原作も読んでいないし、過去に製作された2本の映画も観ていないため、どこからがネタバレになるのか良く判らないのだが、良くも悪くも普通の娯楽映画。 登場人物も基本的にウィル・スミス一人(と犬)なので、彼の置かれている状況や心情が丁寧に重ねられてお…

『once ダブリンの街角で』

映画の為の音楽でなく音楽の為だけの映画でもない、音楽と映画が共生しているとても幸福な作品。 主演の二人は役者でなくミュージシャンだし、カメラは手持ち撮影で、(おそらく)スタジオセットもなく(これまたおそらく)過剰なライティングもされていない、ほ…

『ブレイブ ワン』

勧善懲悪映画でもなければ、アメリカ的ファミリー第一主義映画でもない、モラルの境界線上(グレーゾーン)を描いた、アメリカ大作映画っぽくない作品。個人的には充分楽しめたが、良くも悪くも爽快な結末はなく、明快な回答も提示されていない為、後味の良さ…

『EX MACHINA -エクスマキナ』

前作に比べて映像が非常に綺麗になっており、感心する。ソフトやハードの進化か、はたまた予算の問題か、おそらくその両方であろうが、ややパステル調の淡い色彩は美しく、前作のギラギラした印象はない。キャラクターの動作も前作よりはるかに自然に見え、…

『サディスティック・ミカ・バンド』

いい年のオッサン達が楽しそうで、カッコイイ作品。世界に対したトンガリも、奇抜さをねらうことも、表面には感じさせずに音楽を楽しんでいる感じがカッコイイ。こんな(日本人の)オッサンを見ると、年を取るのも悪くないと思える。 但し、作品としてはあまり…

『サイボーグでも大丈夫』

物語は精神病院が舞台になっており、パステル調の美術や小道具、衣装を始め、患者の妄想世界など、観ていて楽しい。しかし、ヒロインの病気を受け入れたくない母親などにより、否応なく病院という現実に引き戻される。 個人的には、患者たちの妄想世界という…

『人が人を愛することのどうしようもなさ』

主演の喜多嶋舞の話題ばかりが先行しているが、まぎれもない「石井隆作品」である。 石井隆作品の、絶妙な構図、夜の雨、ネオン。それらを見ているだけでドキドキしてしまう。 物語の基本構造が主人公・名美の一人称である為、他者の視点はあまりなく、名美…

『河童のクゥと夏休み』

年齢性別を問わずに楽しめる良作。 物語に必要以上の突飛さもなく、安心して観る事ができる。上映時間は長いが、適度に笑える箇所もあり、長さを感じさせない。 但し、一部のキャスティングに関しては、やや抵抗を感じる。監督は演技よりも声の雰囲気を優先…