2011映画

『127時間』

ダニー・ボイル監督最新作。断崖に右腕を挟まれて動けなくなった主人公アーロン・ラルストンが奇跡の生還を遂げた実話の映画化。主要登場人物はジェームズ・フランコだけという、アカデミー主演男優賞ノミネートも納得の熱演が心に残る傑作。 ダニー・ボイル…

『奇跡』

是枝裕和監督の最新作。芸人まえだまえだの二人を主演として九州新幹線全線開業をモチーフに描く群像劇。これがちょっとビックリな良作でした。もともと是枝作品はあまり得意ではなかったのだけれど、本作品はかなり好きな作品となった。『誰も知らない』以…

『アジャストメント』

マット・デイモン主演のユニバーサル映画というと「ジェイソン・ボーン」シリーズというイメージで、一般的にもスタジオ的にもすでに固着していると思われるが、不勉強ながらこのシリーズは観たことないし、続く『グリーン・ゾーン』も観ていない。しかも本…

『ブラック・スワン』

ダーレン・アロノフスキーはあまり好きな監督ではないのだが、思いのほか楽しい作品だった。ナタリー・ポートマンの作品全体を支配するほどの存在感が素晴らしく、公演初日が近づくに従い現実と妄想の境界が曖昧になってゆく主人公の追い込まれ方のハンパな…

『アンノウン』

リーアム・ニーソンが『96時間』での「怒れるお父さん」ばりの怖い表情で、失った記憶の中の自分を捜すサスペンス・アクション作品。監督は『エスター』のジャウム・コレット=セラ。製作にはコレット=セラ作品のプロデュースを続けているジョエル・シルバ…

『ミスター・ノーバディ』

『トト・ザ・ヒーロー』のジャコ・ヴァン・ドルマル監督が13年を経て撮った最新作。なんとも不思議な作品で、死を目前に控えた118歳の主人公が、彼の生まれた1970年代から2000年代を3人の女性を中心に幾通りもの「可能性の人生」を回想してゆく。その舞台は…

『キッズ・オールライト』

4月29日 公開 原題「THE KIDS ARE ALL RIGHT」 監督/脚本:リサ・チョロデンコ 出演:アネット・ベニング/ジュリアン・ムーア/マーク・ラファロ/ミア・ワシコウスカ/ジョシュ・ハッチャーソン【ストーリー】 15歳のレイザー(ジョシュ・ハッチャーソン)は…

『ブルーバレンタイン』

ミッシェル・ウィリアムズの好演も話題の本作品。デレク・シアンフランシス監督の長編2作目となる。なお前作『Brothe Tied(1997年)』は日本未公開。ドキュメンタリー作品が多いようで、他の劇映画で撮影監督も務めているとのこと。けれど関わったいずれの作…

『わたしを離さないで』

カズオ・イシグロの同名小説を『ストーカー(2002)』の監督マーク・ロマネクが映画化した作品。原作のエピソードを大幅に削り、さらに一部改変を加えながらも、原作小説の雰囲気をとても巧く映画化していると思う。かなりジャンルレスな物語なのだが、あえて…

『イリュージョニスト』

ジャック・タチが遺した脚本「FILM TATI No.4」を『ベルヴィル・ランデブー』のシルヴァン・ショメがアニメ化した作品。海外アニメのほとんどが3DCGアニメで製作されている現在、フランスらしいアートな手描き長編アニメを観られることは、素直に嬉しい。時…

『ザ・ファイター』

プロボクサー兄弟の実話を映画化した、デヴィッド・O・ラッセル監督作品。歯並びまで変えて役作りをしたクリスチャン・ベールも凄いが、特筆すべきは強烈なリングママを演じたメリッサ・レオであろう。下世話な下町で大家族を仕切るパワフルさが素晴らしい。…

『名前のない少年、脚のない少女』

3月26日 公開 原題/英題「OS FAMOSOS E OS DUENDES DA MORTE/THE FAMOUS AND THE DEAD」 監督:エズミール・フィーリョ 出演:エンリケ・ラレー/イズマエル・カネッペレ/トゥアネ・エジェルス/サムエル・ヘジナット/アウレア・バチスタ【ストーリー】 ミスタ…

『ビー・デビル』

キム・ギドクの助監督を努めていたチャン・チョルスの長編初監督作品。実際に韓国で起きた複数の事件を合わせて作られた物語とのこと。典型的なホラー映画であり、物語後半で加速する惨殺描写も思わず笑ってしまうほど過激。同時に主人公と幼なじみの女性二…

『ファンタスティック Mr. FOX』

『チャーリーとチョコレート工場』や『ジャイアント・ピーチ』の原作者ロアルド・ダールの「すばらしき父さん狐」を『ダージリン急行』のウェス・アンダーソンが、しかもストップモーション・アニメで映画化した本作品はブラックな笑いに満ちていて、決して…

『トゥルー・グリット』

スピルバーグ製作総指揮によるコーエン兄弟最新作にして最大のヒット作。とても面白かったし、ロジャー・ディーキンスによる映像も素晴らしかった。けれどコーエン兄弟である必要はあまり感じられなかったかも。ジョン・ウェインがオスカーを獲得した『勇気…

『塔の上のラプンツェル』

ディズニーの長編アニメーション第50作目とのこと。グリム童話に登場するラプンツェル(野ぢしゃ)の物語を換骨奪胎して製作したオリジナルストーリー。原作の設定で残っているのは、塔のてっぺんに幽閉された髪の長い少女という基本コンセプトと一部の非常に…

『ブンミおじさんの森』

3月5日 公開 英語題「UNCLE BOONMEE WHO CAN RECALL HIS PAST LIVES」 監督:アピチャッポン・ウィーラセタクン 出演:タナパット・サーイセイマー/ジェンチラー・ポンパス/サックダー・ケァウブアディー/ナッタカーン・アパイウォン/チィラサック・クンホン…

『英国王のスピーチ』

現エリザベス女王の父親にあたるジョージ6世の物語。それほど昔の話ではないのにイギリス王室でこんな物語があったなんて知らなかった。まあイギリス王室にそれほど興味があるわけでもないし、現在のエリザベス女王が即位して来年(2012)で60年だそうで、それ…

『シリアスマン』

2月26日 公開 原題「A SERIOUS MAN」 監督:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン 出演:マイケル・スタールバーグ/リチャード・カインド/フレッド・メラメッド/サリ・レニック/アーロン・ウルフ/ジェシカ・マクマヌス/アダム・アーキン【ストーリー】 196…

『アンチクライスト』

ラース・フォン・トリアー監督最新作。そのあまりの過激描写から日本公開できないのではと言われていたが、国内配給に踏み切ったキングレーコードの度胸をまずは賞賛したい。 本作品が『マンダレイ(2005)』以来の長編監督作品となるトリアー。その間にうつ病…

『死にゆく妻との旅路』

2月26日 公開 監督:塙幸成 出演:三浦友和/石田ゆり子/西原亜希/掛田誠/近童弐吉/黒沼弘己/でんでん/松浦祐也/十貫寺梅軒/田島令子/常田富士男 原作:清水久典「死にゆく妻との旅路」(新潮文庫刊)【ストーリー】 高度成長期、縫製ひと筋に生きてきた男は小…

『恋とニュースのつくり方』

『プラダを着た悪魔』の脚本家アライン・ブロッシュ・マッケンナによるオリジナル脚本を『ノッティングヒルの恋人』のロジャー・ミッシェルが監督したワーキングウーマン・ロマコメ作品。主演のレイチェル・マクアダムズをはじめハリソン・フォード、ダイア…

『ハーモニー 心をつなぐ歌』

実話を基にしたという女子刑務所合唱団の物語。まあ、最初から観客をいかに泣かせるかを大前提にしている作品なので大泣きできることは判っていたけれど、それでもやはり泣けてしまう作品でした。脚本・監督のカン・テギュは本作品が長編初監督作品とのこと…

『男たちの挽歌 A BETTER TOMORROW』

2月19日 公開 原題「無敵者」 監督:ソン・ヘンソン 製作総指揮:ジョン・ウー 出演:チュ・ジンモ/ソン・スンホン/キム・ガンウ/チョ・ハンソン/イ・ギョンヨン/キム・ジヨン/キム・ヘゴン/イム・ヒョンジュン【ストーリー】 家族で北朝鮮からの脱出を志し…

『トスカーナの贋作』

アッバス・キアロスタミの劇場用長編作品としては『風が吹くまま (1999年)』以来となる本作品。主演は本作品でカンヌ主演女優賞を受賞したジュリエット・ビノシュと映画初出演となるオペラ歌手ウィリアム・シメル。ほぼ全編が二人の会話劇となっている。初め…

『白夜行』

東野圭吾の同名ベストセラー小説の映画化。監督は現在の若い映画監督の中でも注目度の高い深川栄洋。ちなみに深川栄洋は2011年だけでも本作品を含む3本の監督作品が公開される。今回の映画化にあたり原作から大胆にエピソードや登場人物を削って雪穂と亮司…

『冷たい熱帯魚』

園子温監督最新作。『ちゃんと伝える』を間にはさんで『愛のむきだし』と対極にある作品とのこと。1993年の埼玉愛犬家殺人事件をベースにして幾つかの事件を混ぜて創作された物語で、その猟奇殺人描写から【R-18+】(18歳未満の入場・鑑賞を禁止)となっている…