『ザ・ファイター』

プロボクサー兄弟の実話を映画化した、デヴィッド・O・ラッセル監督作品。歯並びまで変えて役作りをしたクリスチャン・ベールも凄いが、特筆すべきは強烈なリングママを演じたメリッサ・レオであろう。下世話な下町で大家族を仕切るパワフルさが素晴らしい。
この二人だけではなく、本作品は役者が皆、良い。それぞれが人生のどん底に堕ちながら、結局は離れられない家族という共同体であることに帰結してゆく物語に充分な説得力を与えている。そしてもう一つ、この作品を盛り上げるのは、ボクシングの試合シーンであろう。実際にテレビ中継された試合は複数台のテレビカメラでビデオ撮影しテレビ画面を再現している。技術上の細かな嘘はたくさんあるだろうが、ボクシングをわざわざ会場へ行ってまで観戦しない多くの観客にとって、テレビ観戦の方がよりリアルな体験であり、実際に試合をテレビ観戦している気持ちになる。なお撮影は『ぼくのエリ 200歳の少女』のホイテ・ヴァン・ホイテマが、担当している。どん底から復帰してゆく物語後半の盛り上がりはスポーツ物ならではの圧倒感で、分かりきった展開だけど手に汗握って興奮する。その上さらに兄弟物という王道物語が加算されるので、その面白さは倍増する。


3月26日 公開
原題「THE FIGHTER」
監督:デヴィッド・O・ラッセ
出演:マーク・ウォールバーグ/クリスチャン・ベール/エイミー・アダムス/メリッサ・レオ/ジャック・マクギー

【ストーリー】
ディッキー(クリスチャン・ベール)は町の期待を一身に背負う名ボクサーだが、その短期で怠情な性格から破綻した毎日を送っている。一方、異父弟のミッキー(マーク・ウォールバーグ)もボクサーだが、兄とは正反対の地味な性格。兄と母アリス(メリッサ・レオ)から言われるがままに試合を重ねるが、どうにも勝利を収めることが出来ない。そんなある日、ディッキーが薬物に手を出し、遂には監獄送りに。どん底まで落ちた兄の姿、そして断絶する家族の絆。2人が目指していた世界チャンピオンなど、夢のまた夢だと思われた・・・。しかし、恋人シャーリーン(エイミー・アダムス)の支えもあり、ミッキーはもう一度リングに上がる決意をする。次第に連勝を重ね始めるミッキーと、それを監獄から見守る兄。そしてミッキーが世界タイトルマッチへの切符を手に入れた頃、ようやくディッキーが出所する。初めて本音を激しくぶつけ合い、魂と魂で殴り合った兄弟は、再び二人三脚で世界の頂点を目指し始めるー。

配給:ギャガ
2010年/アメリカ/116分/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル、ドルビーSR/字幕翻訳:林完治
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公式サイト http://thefighter.gaga.ne.jp/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2011-1st/thefighter/

ザ・ファイター コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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