『ビー・デビル』

キム・ギドクの助監督を努めていたチャン・チョルスの長編初監督作品。実際に韓国で起きた複数の事件を合わせて作られた物語とのこと。典型的なホラー映画であり、物語後半で加速する惨殺描写も思わず笑ってしまうほど過激。同時に主人公と幼なじみの女性二人の愛憎とも言える関係性も魅力的で、小道具として登場するリコーダーの使い方も秀逸。ただ残念なのは主人公の故郷である島の住人たちが度々採って食べている野草の扱いが中途半端だったこと。ある種の麻薬効果があるようで、島の苦しい生活から逃避するためのアイテムとなっているが、その設定以上に扱われることはなかった。とは言え近年の韓国映画らしいクオリティの高さは保持した佳作。

3月26日 公開
英語タイトル「Bedevilled」
監督/脚本：チャン・チョルス
出演：ソ・ヨンヒ/チ・ソンウォン

【ストーリー】
ソウルの銀行に勤める独身女性ヘウォン（チ・ソンウォン）は、トラブル続きの都会生活から逃れるように、子供の頃に暮らした思い出の島にやってくる。そこは、たった9人の住民が暮らす絶海の孤島であった。彼女を出迎えたのは、生まれたから一度も島から離れたことがない幼馴染みのキム・ボンナム（ソ・ヨンヒ）。人なつっこい笑顔でヘウォンの帰郷を喜ぶボンナムだったが、その表情の陰には、地獄のような苦しみに耐えてきた日々があった。昼は村の老人たちに奴隷のようにこき使われ、夜は男たちの慰み者になり、夫からの暴力も日常茶飯事。ボンナムはヘウォンに「ソウルへ連れていって」と懇願するが、面倒事を避けようと島を訪れたヘウォンにとって、それは単なるわがままでしかなかった。そんなある日、ついに取り返しのつかない悲劇がボンナムを襲う。その瞬間、この美しい島を地獄絵図に変える惨劇の幕が開いた･･･。

配給：キングレコード
2010年/韓国/115分/カラー/シネマスコープ/DLP上映
(C)2010 Boston Investments Co., Ltd. and Filma Pictures. All Rights Reserved.

公式サイト　http://www.kingrecords.co.jp/bedevil/

ミニパラ　http://www.minipara.com/movies2011-1st/bedevil/

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