『ファンタスティック Mr. FOX』

『チャーリーとチョコレート工場』や『ジャイアント・ピーチ』の原作者ロアルド・ダールの「すばらしき父さん狐」を『ダージリン急行』のウェス・アンダーソンが、しかもストップモーション・アニメで映画化した本作品はブラックな笑いに満ちていて、決して子供向けとは言えないが、とても楽しい作品になっている。
プロダクション・デザインを担当したのは『ティム・バートンのコープスブライド』や『コララインとボタンの魔女』のデザイナー、ネルソン・ロウリー。何というか狭いストップモーション・アニメの世界である。
本作品に登場する動物たちは完全二足歩行で、人間と同じデザインの洋服を着て人間と同じような生活をしている。動物だけが登場する物語であれば良くある設定だが、本作品には人間も登場する。動物と人間が同じレベルで争っている描写がユニークでもある。
ややキザな振る舞いの主人公、Mr. FOXは実際にはトラブルメーカーで、その言動により動物社会全体を危機へ導いてゆくことになる。けれども事態を収束させる手段がなくなった物語のクライマックスでのMr. FOXの決断には、何故か責任感を感じさせるし、同時進行する親子問題を解決してゆく様にも少なからず感動させられてしまう。
動物たちが縦列に並んで地下の穴道を進んでゆく映像が楽しく、監督はこの映像を撮りたかったんだろうなというオーラがヒシヒシと伝わってくる。

3月19日 公開
原題「FANTASTIC Mr. FOX」
監督：ウェス・アンダーソン
出演：ジョージ・クルーニー/メリル・ストリープ/ジェイソン・シュワルツマン/ビル・マーレイ/ウィレム・デフォー/オーソン・ウィルソン

【ストーリー】
Mr. FOXは、息子が産まれたことをキッカケに盗み稼業から足を洗い、今は新聞記者として働く日々。けれど穴暮らしに飽きた彼は丘の家を購入することに。しかし、丘の向こうには意地の悪い３人の農場主が住んでいるからと弁護士のバジャーは大反対。それでも忠告を無視して引っ越し、人間に近づいたMr. FOXは野生の本能が目覚めてしまい、再び盗み稼業へ逆戻り。しかし、日々獲物を盗まれる人間たちの怒りは頂点に達し、３人の農場主はトラクターで丘を根こそぎ掘り返し始めた。一家の主として父親として“ファンタスティック”に生きたいMr. FOXと、土の中で生活するすべての仲間たちは、野生の本能と誇りをかけて人間たちと戦い始める。

配給：ショウゲート　協力：ギャガ
2009年/アメリカ・イギリス合作/87分/カラー/ドルビーデジタル/ビスタ/英語/字幕翻訳：石田泰子
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公式サイト　http://mrfox.jp/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2011-1st/mrfox/

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