『アンノウン』

リーアム・ニーソン『96時間』での「怒れるお父さん」ばりの怖い表情で、失った記憶の中の自分を捜すサスペンス・アクション作品。監督は『エスター』のジャウム・コレット=セラ。製作にはコレット=セラ作品のプロデュースを続けているジョエル・シルバーが今回も名を連ねている。
一時の娯楽作品としては充分に楽しむことができる作品。もちろん辻褄の合わないところや、ご都合主義な展開などのアラもあるだろう。けれどこの種のサスペンス作品では、そんなマイナス要素も醍醐味の一つだと思っているので、ひっくるめて楽しめば良い。
本作品は物語の性質上、幾つかのシーンを除いてほとんどが主人公を中心に展開してゆくため、登場人物たちの関係性から物語世界が広がってゆくことはない。これも仕方のないことどと思うが、個人的には、主人公の事故に立ち合い以後の行動を共にするダイアン・クルーガー演じる不法移民のタクシー運転手の扱いをもう少し掘り下げても良かったかなと思う。
なお蛇足ながら、本作品には当初『身元不明』という日本語タイトルが付けられていた。しかし3月に起きた東日本大震災の影響により改題している。


5月7日 公開
原題「UNKNOWN」
監督:ジャウム・コレット=セラ
出演:リーアム・ニーソン/ダイアン・クルーガー/ジャニュアリー・ジョーンズ/エイダン・クイン/ブルーノ・ガンツ/フランク・ランジェラ

【ストーリー】
植物学者のマーティン・ハリス博士は、学会に出席するために、妻とアメリカからベルリンへやって来た。ホテルに着いた途端、忘れ物に気づいたマーティンは、タクシーで空港へと引き返すが、途中で交通事故に遭ってしまう。4日間の昏睡状態から目覚め、ホテルに駆け戻ると、なんと妻は自分を「知らない人」だと言う。そればかりか、見ず知らずの男が自分になりすましていた。
マーティンの所持品は、携帯電話と一冊の本だけ。一方のマーティンを名乗る男は、パスポートはもちろん、妻との新婚旅行の写真まで持っている。誰もマーティンの訴えに耳を貸そうとしない。マーティンは自らの正気を疑い始めるが、何者かに命を狙われ、陰謀の存在を確信する。マーティンは不法移民のタクシー運転手と、元東ドイツの秘密警察の男の協力を得て、謎に立ち向かうのだがー。

配給:ワーナー・ブラザーズ映画
2011年/アメリカ/113分/全6巻/3,104m/シネマスコープ・サイズ/ドルビーSRD+DTS+SDDS/字幕:石田泰子
(C)Warner Bros. Ent. All Rights Reserved

公式サイト http://wwws.warnerbros.co.jp/unknown/index.html

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2011-2nd/unknown/

アンノウン [Blu-ray]

アンノウン [Blu-ray]