『アイ・アム・レジェンド』

 原作も読んでいないし、過去に製作された2本の映画も観ていないため、どこからがネタバレになるのか良く判らないのだが、良くも悪くも普通の娯楽映画。
 登場人物も基本的にウィル・スミス一人(と犬)なので、彼の置かれている状況や心情が丁寧に重ねられており、物語の構成や設定なども分かりやすく、主人公への感情移入もしやすい。そして、そんな主人公の「孤独」な状況が急変した時の(おそらく彼自身も予想外だったであろう)動揺など、心理ドラマとしても興味深い部分もある。
 ただしSF映画としては凡作で、人間の変異体であるダークシーカーズの描き方など、もう少し工夫すればいくらでもドラマとして面白くなるだろうと思えるあたり、残念でもある。結末にも無理を感じるし、そこに帰結させるのであれば、何か違う語り方が合ったのではないかとも思う。
 とはいえ、荒廃した無人のニューヨークという映像は圧巻で、そこでストイックに規則的な生活を続ける主人公を演じるウィル・スミスにも好感が持てる。

12月14日 公開
原題「I AM LEGEND」
監督:フランシス・ローレンス
出演:ウィル・スミス/サリー・リチャードソン/アリス・ブラガ
原作:リチャード・マシスン 『地球最後の男』(ハヤカワ文庫刊)

【ストーリー】
 66億人の絶滅と、たった1人の生存者―。
 2012年、人間の姿が消え、死んだように静まり返るニューヨークの街。この街がかろうじて生きていることを伝えるのは、通りを走り抜けていく1台の真っ赤なマスタングだけ。運転しているのは、ロバート・ネビル。3年前、人類に降りかかった地球規模の災厄をくぐり抜け、この街で、そしておそらくは全世界で、ただ1人生き残った男。
 今や唯一の話し相手となった愛犬サムとともに、無人の店舗で食料品や日用品を調達し、セントラルパークに畑を作って、彼は独りで生きている。店員代わりに並べたマネキン、空軍基地の飛行機の翼から摩天楼に向かって打ち放つゴルフのショット…何をするのも独り、どこへ行っても独り。それはいつ終わるともしれない究極の孤独だ。
 自分以外の生存者を探しもとめて、3年間、毎日無線で流し続けているメッセージには、いまだ誰からも返事はない。果たしてこの世に生存者はいるのか? 有能な科学者でもある彼が、自らに課した使命、それは人類を絶滅させた原因を取り除き、再生の道を探ること。今はそれだけが彼の生きる支えとなっていた―。

配給:ワーナー・ブラザース映画
2007年/アメリカ/100分
(C)2007 Warner Bros. Entertainment Inc.

アイ・アム・レジェンド [Blu-ray]

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