『once ダブリンの街角で』

映画の為の音楽でなく音楽の為だけの映画でもない、音楽と映画が共生しているとても幸福な作品。
主演の二人は役者でなくミュージシャンだし、カメラは手持ち撮影で、(おそらく)スタジオセットもなく(これまたおそらく)過剰なライティングもされていない、ほとんど自主制作映画のような作品。だからこそこれほどまでに豊かな作品になるのだろう。
ジョン・カーニーという監督は、これまで日本では殆ど紹介されていないため過去の作品は未見だが、経歴を見る限りアイルランドでは評価の高い人らしい。ただし、本作はジョン・カーニー(監督)とグレン・ハンサード(主演)の特異な関係の上にのみ成り立った作品だけに、今後とこれまでの作品に期待と不安が高まる。


11月3日 公開
原題「ONCE」
監督・脚本:ジョン・カーニー
出演:グレン・ハンサード/マルケタ・イルグロヴァ

【ストーリー】
ONCE、たった一度の出会い。ある日、ある時、ダブリンの街角で…。男と女は、恋か友情か、心の通じる相手を見つけた。男は穴の空いたギターを抱え、街角に立つストリート・ミュージシャン。女は楽器店でピアノを弾くのを楽しみにするチェコからの移民。そんな一見、なんの接点もない二人を、音楽が結びつける。言葉にできないもどかしさを音楽にのせ、一緒に演奏する喜びを見つけた二人のメロディは重なり、心地よいハーモニーを奏でる。そんなどこの街角でも起こりえる普遍的な出会いが、静かに動き始める。

配給:ショウゲート
2006年/アイルランド/87分/35mm/ビスタサイズ/カラー/ドルビーSR