『サイボーグでも大丈夫』

物語は精神病院が舞台になっており、パステル調の美術や小道具、衣装を始め、患者の妄想世界など、観ていて楽しい。しかし、ヒロインの病気を受け入れたくない母親などにより、否応なく病院という現実に引き戻される。
個人的には、患者たちの妄想世界という一人称のみで語り、もっと現実にとらわれない不条理な世界を綴った方が楽しめたかもしれない。
確かに、物語の舞台が病院である以上、現実と妄想のバランスは難しく、その点では上手くバランスの取れた作品。現実の描かれ方にも悲壮感や暗さはないので、そのバランス感に抵抗を感じなければ、楽しめると思う。
そういった意味でも、もう一度見てみたい作品でもある。もう一度見たら、but That's OK と言えるかもしれない。


9月15日 公開
監督:パク・チャヌク
出演:チョン・ジフン/イム・スジョン

【ストーリー】
妄想病患者イルスンは、新世界精神クリニックでなぜか自分のことをサイボーグだと信じ、蛍光灯を叱り、自動販売機にご苦労さんと声をかける不思議な女の子ヨングンに出会った。「人のもの」なら特徴でもなんでも盗むことができるイルスンに彼女は”同情心”を盗んでくれという。わけがわからないので、しばらくヨングンの行動を観察することにした。彼女はご飯を食べると機械が壊れると信じこんで、電池で充電しているのだった。どうすれば彼女を助けられるのか?なぜ彼女はサイボーグだと信じている?ヨングンの同情心を盗んだ彼の心はしだいに痛み出す。

配給:東京テアトル株式会社
2006年/韓国/107分/カラー/ビスタ/ドルビーSRD
(C)2006 CJ ENTERTAINMENT INC & MOHO FILM.ALL RIGHTS RESERVED