『アンコール!!』

まあどうしても『glee』を思い出さずにはいられない“ロックやポップスを歌う合唱もの”ということになるのだが、その実この作品で描かれているのは、本人が思っている以上に存在の大きかった妻を亡くした男の“愛のかたち”の物語。その意味では合唱でなくても成り立つ作品。監督の祖父母のエピソードを基にしているとのこと。94分という短い上映時間が良い。一歩間違えばいくらでも陳腐で冗長なドラマになりそうなところを、湿っぽいだけのエピソードをバッサリと切り落として作品全体の身を軽くすることに成功している。この物語上の時間経過の間引き加減が軽快で、昨今のダラダラと展開する説明過多な作品にはない心地よい余韻を残す。


6月28日 公開
原題:SONG FOR MARION
監督・脚本:ポール・アンドリュー・ウィリアムズ
出演:テレンス・スタンプ/ヴァネッサ・レッドグレイヴ/ジェマ・アータートン/クリストファー・エクルストン/アン・レイド/エリザベス・カウンセル/ラム・ジョン・ホルダー
音楽スーパーバイザー:マット・ビッファ/マギー・ロッドフォード 衣装デザイン:ジョー・トンプソン 編集:ダン・ファレル 美術:ソフィー・ベッカー 撮影:カルロス・カタラン

【ストーリー】
ロンドン。無口で気難しいアーサーは、隣近所でも有名なガンコ者で、息子ともギクシャク。唯一、笑顔を見せるのは、最愛の妻、マリオンにだけ。病弱だが陽気なマリオンの趣味は、ロックやポップに挑戦するちょっと変わった合唱団“年金ズ”で歌うこと。ある日、“年金ズ”が国際コンクールのオーディションに出場することに!しかし、喜ぶマリオンに、なんとガンが再発したという告知が。練習に行けないマリオンのたっての頼みで、アーサーは、妻の代わりに渋々合唱団の扉を叩く。美人なのに恋愛ベタな音楽教師エリザベスや、個性派だらけの仲間との出会いは、アーサーの毎日を思いもよらない方向へ連れて行く。

配給:アスミック・エース
2012年/イギリス/94分/カラー/スコープサイズ/ドルビーデジタル/日本語字幕:加藤リツ子
(C)Steel Mill (Marion Distribution) Limited 2012 All Rights Reserved.

公式サイト http://encore.asmik-ace.co.jp/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2013-2nd/encore/

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『タイピスト!』(8/17公開)

50'sの鮮やかな色彩であふれる衣装、美術、小道具が満載で見ているだけでも楽しいロマコメ。の上に「タイプライター早打ち選手権への道」がコミカルなスポ根テイストで乗算される。音楽も良かったしオープニング・タイトルバックも良し。楽しかった。
http://typist.gaga.ne.jp

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『SHORT PEACE』(7/20公開)

大友克洋火要鎮』を含むオムニバス作品。今更ながら、でも改めて、アニメーションの作品世界の具現化においてCGが広げてみせた振り幅の大きさに感嘆する。どれも面白かったが、白眉はやはり大友克洋作品か。『GAMBO』も好き。
http://shortpeace-movie.com

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『嘆きのピエタ』

キム・ギドクの劇映画としては5年ぶりとなる、2012年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞受信作品。これが素晴らしかったのだけれど、そこはキム・ギドク作品、気軽に人に薦めることのできない、重い石を観客の心の中に残す作品だった。観ている間も絶え間なく感嘆と痛みに翻弄され続けるだが、鑑賞後も、しばらくしてふっと思い出す幾つものショットが、その時以上の力強さで胸をつかみ、感情を一瞬にして作品世界へ引き戻してゆく。主演二人が何よりも素晴らしく、この二人の間で交わされる“(幾重もの)愛”という感情のながれに、ただ嘆息するのみ。なんとこの作品、わずか10日で撮影されたとのこと。短期間に濃縮された作り手たちの異様な“熱”に圧倒される。


6月15日 公開
英題:PIETA
監督・脚本:キム・ギドク
出演:チョ・ミンス/イ・ジョンジン/ウ・ギボン/カン・ウンジン/チョ・ジェリョン/イ・ウォンジャン
撮影:チョ・ヨンジク 美術:イ・ヒョンジュ 音楽:パク・イニョン 衣装:チ・ジヨン

【ストーリー】
生まれてすぐに親に捨てられ、30年間天涯孤独に生きてきた借金取りの男ガンド。冷酷無比な取り立ての日々を送る彼の前に、突然母親だと名乗る謎の女が現れる。女は本当にガンドの母親なのか?なぜ今、現れたのか?疑いながらも、女から注がれる無償の愛を次第に受け入れていくガンドがった。

配給:クレストインターナショナル
2012年/韓国/104分/カラー/ビスタ/デジタル/日本語字幕:根本理恵/R15+
2012 KIM Ki-duk Film. All Rights Reserved

公式サイト http://www.u-picc.com/pieta/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2013-2nd/nagekinopieta/

アリラン [DVD]

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『オブリビオン』

【覚書として】
まずは何より良い意味で正当なトム・クルーズ映画であったことに感嘆する。やはりこの人のセルフプロデュースの巧みさはスゴイと思う。“トム・クルーズ”というブランドの持つ影響力もイメージも客観的に把握しいて、それを上手に転がしている。そしてもうひとつ、この作品が持つ大きな魅力は、思いのほか素直なSF映画だったことだ。“SF物語”の持つ未来的なディティールがもたらす高揚と、その膜一枚向こうにある“ディストピア感”とか“果てのない孤独”といったモチーフを、いまどきのブロックバスター級大作映画できちんと描いてみせていることは素直に賞賛したい。ややラストは甘いと思うけれど。でもこの作品からSF物語に少しでも触れてみようと思う人がいれば素敵だと思う。個人的にはかなり好きな部類の作品。プロダクションデザインも良かった。


5月31日 公開
原題:OBLIVION
監督:ジョセフ・コジンスキー
出演:トム・クルーズ/オルガ・キュリレンコ/モーガン・フリーマン/メリッサ・レオ/アンドレア・ライズボロー/ニコライ・コスター=ワルドウ
原作:ジョセフ・コジンスキー 脚本:ジョセフ・コジンスキー/ウィリアム・モナハン/カール・ガイダシェク/マイケル・アーント 撮影:クラウディオ・ミランダ 美術:ダーレン・ギルフォード 衣装:マーリーン・スチュワート 編集:リチャード・フランシス=ブルース 音楽:アンソニー・ゴンザレス/ジョセフ・トラバニーズ

【ストーリー】
2077年、地球はエイリアンによって攻撃を受け壊滅。人類は他の惑星へと移住を果たすが、ジャックは地球に残り、パトロール機バブルシップをかり、高度1,000mの上空から地球を監視している。ある日、ジャックは墜落した宇宙船で眠る美女ジュリアを発見する。目を覚ました彼女はなぜか遭ったことのないジャックの名を口にした。断片的な記憶を辿るジャックだったが、誰もいないはずの地球で謎の男ビーチによって拘束される。ジュリアは何者なのか?ビーチの目的は?彼らによってジャック自身、そして地球の運命が大きく動き始める!

配給:東宝東和
2013年/アメリカ/124分/
2013 Universal Studios.ALL RIGHTS RESERVED.

公式サイト http://oblivion-movie.jp

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2013-2nd/oblivion/

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『アンコール!!』(6/28公開)

上映時間94分。いくらでも陳腐になりそうな物語から湿っぽいだけのエピソードをガッツリ抜いて、むしろ最近では少し新鮮な軽快さで語られる物語展開が楽しかった。
シニアコーラスのメンバーが舞台衣装として絞り染めTシャツを着ている。ウチの子が通う保育園では運動会に合わせて毎年作らされる絞り染めTシャツ。私個人の中で幼児が爺婆に変わっただけの光景が展開して、密かに微笑ましいシークエンスだった。
http://encore.asmik-ace.co.jp/

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『はじまりのみち』

クレヨンしんちゃん』シリーズなどの原恵一監督による初の実写長編作品は、木下恵介生誕100年記念映画。原恵一監督自身が熱烈な木下恵介作品のファンとのこと。戦中に映画を断念した木下恵介がふたたび“監督”に戻るまでの物語を病床の母との関係を中心に描いてゆく。実際の木下恵介作品の映像が随所に挿入されており、鑑賞後には木下恵介作品をもっと観たいなと思わせるステキな作品。音楽が少しうるさかったり喜劇担当となる濱田岳の巧すぎる故の収まりの悪さなど、やや気になるところも残る。けれど、生誕100年を機に木下恵介作品の魅力を過去から未来へとつなげてゆく記念作品としては、十二分にその役割を果たしていると思える。


6月1日 公開
監督・脚本:原恵一
主演:加瀬亮/田中裕子/濱田岳/ユースケ・サンタマリア
撮影:池内義浩 美術:西村貴志 音楽:富貴晴美 照明:原由巳 編集:橘樹陽児

【ストーリー】
時は戦中。映画界に政府から戦意高揚映画作りが要求された時代。若き木下恵介は映画『陸軍』がその役割を果たしていないと次回作の製作を中止にさせられてしまう。希望を失った恵介は会社を辞め、浜松の実家へ向かう。しかし1945年夏、戦局が悪化の一途をたどる中、恵介は一台のリヤカーに身体の不自由な母・たまを乗せ、兄・敏三と頼んだ便利屋の三人で、60キロ先の疎開先へ山越えすることを決める。17時間歩きとおし、自分と戦うかのように進む恵介の内に、母への想いと消えることのない映画づくりへの想いが去来する。

配給:松竹
2013年/日本/96分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
(C)2013「はじまりのみち」製作委員会

公式サイト http://www.shochiku.co.jp/kinoshita/hajimarinomichi/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2013-2nd/hajimarinomichi/

木下惠介生誕100年 「二十四の瞳」 [Blu-ray]

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木下惠介生誕100年 「陸軍」 [DVD]

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