『ラバー』

ミスター・オワゾ名義のミュージシャンでもあるクエンティン・デュピューの長編デビュー作。作品冒頭で登場人物の一人が「この作品は“理由はない(No Reason)”ことへのオマージュである」と解説する。理由なく意思を持ったタイヤが次々に殺人を犯してゆくという奇想天外な物語だが、ホラーと言うよりもブラック・コメディであり、個人的には不条理劇としてとても楽しく観た。元々が“ネタ一発”な物語なので本当は短編向きな作品だけれど、劇中に殺人タイヤの行動を“見学する”観客という存在を持つことで作品世界のレイヤーが増えて、良い効果を生んでいる。デジタルスチルカメラで撮影されているそうで、全編でいかにもそれらしい被写界深度の浅い映像が多様されていて、その極端さがかえって新鮮でもあった。


1月21日 公開
原題「RUBBER」
監督・脚本・音楽・編集・撮影:カンタン・デュピュー
出演:スティーヴン・スピネラ/ロキサーヌ・メスキダ/ジャック・プロトニック/ウィングス・ハウザー

【ストーリー】
砂漠に打ち捨てられていたタイヤのロバート。そんな彼にある日突然、どういうわけか命が宿ってしまう。おまけに荒涼とした砂漠をさまよっているうちに、恐ろしいテレパシー能力を持っていたことが判明。なんと自身が動かなくても「壊したい」と念じるだけで物を破壊できてしまうのだ。最初のうちは砂漠の小動物やゴミを狙っては壊していたが、すぐに興味の対象が人間へと移り、特に彼の前を通過していった謎の美しい女からは目が離せなくなっていく。砂漠で目に入るものを手当たり次第に破壊するロバートが通った後は残骸しか残らない…。彼の目的は?そして彼はどのような最期を迎えるのか?

配給:アース・スター エンターテイメント
2010年/フランス/82分/カラー/ビスタ/リニアPCM/デジタル上映/字幕翻訳:森本美香子
(C)realitism films - elle driver - arte france cinema

公式サイト http://rubber-movie.jp/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2011-4th/rubber/

ラバー [DVD]

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