『テトロ 過去を殺した男』

フランシス・フォード・コッポラ監督最新作。と言っても2009年作品。しかも2月にDVD発売(BDは未発売)を控えての限定上映という不遇の作品。コッポラなのに。確かに万人向けな作品ではないし、アート系(という言葉はまだ生きてます?)の扱いで配給するには名前が大きすぎるのかもしれない。
そんな本作ですが、観ればとても素晴らしい作品でした。シェイクスピアばりの、ある意味で幾多とある親子兄弟葛藤劇を、モノクロ映像だからこそできる照明演出とシネスコ画角を最大限に活かした構図で描いてゆく手腕には、改めて感服する。そして主人公テトロを演じるヴィンセント・ギャロの存在感がハンパない。彼が映っているだけで画面が引き締まるだけでなく、その場の空気を全て持っていかれる。さらには弟役のアルデン・エーレンライクやテトロの内縁妻を演じるマリベル・ベルドゥーの好演も印象的だったし、音楽も素晴らしかった。
デジタル撮影のデジタル上映。2010年ラテンビート映画祭での悪評高かったらしい粗悪画質とは打って変わっての高画質上映で、この耽美な物語世界に酔狂するに充分な時間でした。
願わくば、DVDだけでなくBDでも発売して欲しかったです。


1月7日 公開
原題「Tetro」
監督・製作・脚本:フランシス・フォード・コッポラ
出演:ヴィンセント・ギャロ/アルデン・エーレンライク/マリベル・ベルドゥ/カルメン・マウラ
撮影:ミハイ・マライメア・Jr.
編集:ウォルター・マーチ
音楽:オスバルド・ゴリジョフ

【ストーリー】
生まれ育ったニューヨークを捨ててアルゼンチンで暮らす兄のもとを、歳の離れた異母弟ベニーが訪れる。ベニーの期待に反して、「テトロ」と名を変えた兄は、家族や過去の人生を封印して生き、弟に対してもそっけない態度だった。兄の家に滞在している間に家系のルーツを紐解きたいと思ったベニーは、作家志望だった兄が書いた自伝的手記を見つける。盗み読みしていたことをテトロに激怒されたことで兄弟の仲は決裂。実はテトロには、ベニー出生に関わる衝撃の“秘密”があったのだ……。

配給:コムストック・グループ
2009年/アメリカ・イタリア・スペイン・アルゼンチン合作/127分/シネスコ/モノクロ(パートカラー)
(c)2009 by Zoetropa Argentina, BIM Distribuzione, Tornasol Films, Agrupacion de Cine 001, Castafiore Films

テトロ 過去を殺した男 スペシャル・エディション [DVD]

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