『マラドーナ』

エミール・クストリッツァによる
ディエゴ・マラドーナに関するドキュメンタリー映画


12月12日 公開
原題「MARADONA BY KUSTURICA」
監督:エミール・クストリッツァ
出演:ディエゴ・アルマンドマラドーナ/エミール・クストリッツァ/マラドーナ・ファミリー

【ストーリー】
彼が10台の若さで世界に登場した時、我々は“神の子”と崇め、奉り立てた。86年メキシコW杯で頂点を極めた後は、数々のピッチでの美しいドラマとは裏腹にピッチ外でのスキャンダルにより次第に神の輝きを失っていった・・・。堕落していく様を知りながらも我々の心の中にいつまでも残るピッチでの躍動、ゴールの笑顔、悔しさに人目をはばからず涙する姿。ひとたび彼のプレーを目にした全ての人は、なぜだか今も彼の魅力の虜になっている。
アメリカ!反大英帝国!反資本主義!反FIFA!サッカー界のSEX PISTOLSカストロ将軍とチェ・バゲラのタトゥー!カーリー・ヘアの革命家!薬物中毒!衝撃の激太り!奇跡のダイエット成功者!ボンボネーラ!マラドーナ教!バラエティ番組の名司会者!両腕の腕時計!愛する両親!愛する妻クラウディア!愛する娘ダルマとシャンニーナ!
マラドーナを読み解くキーワードには限りが無い・・・いま“映画界のマラドーナ”ことクストリッツァが全てを紐解く。

配給:キングレコード/日本出版販売
2008年/スペイン・フランス/95分/カラー
(C)2008-PENTAGRAMA FILMS-TELECINCO CINEMA-WILD BUNCH-FIDELITE FILMS.

公式サイト http://www.maradonafilm.com/

「神の子」マラドーナ
「ゴッドハンド」と麻薬スキャンダルくらいしか知らなかったのだが、
題材としてはとても面白い人でした。
クストリッツァマラドーナ
マーロン・ブランドやその他の偉大な映画俳優を思い起こさせる。公の場(舞台)から降りると、彼らはどのように生きたらいいか分からなくなる」
と語る。

まさに、
マラドーナという異端児・反逆児の「人間」を描いた本作品の全てが
この言葉に集約されていると言っても良いだろう。

また、
作中には反政府デモなど政治活動に関する描写も意外と多く、
一般的なサッカーファンには肩透かしな作品になるかもしれない。

クストリッツァ率いるノー・スモーキング・オーケストラのステージに
マラドーナが飛び入りする場面や、
マラドーナが司会するテレビ番組にクストリッツァが出演するなど、
映画界の反逆児とも呼ばれるクストリッツァと、
あらゆる大勢にアンチの旗を掲げるマラドーナが、
本作品の撮影を通じて互いにシンパシーを感じていることは明らかだ。
でもクストリッツァ以上にマラドーナは曲者のようで、
「あるときはイエスと言うのに、次はノーと言ってきたりする」
とのことで、撮影も大変だったらしい。

そこらのスケールでは測りきれず、
常にはみ出してしまうマラドーナ
すぐ側にいると、とても厄介な存在だが、
傍から見ている分にはこれほど魅力的な人物はいない。
クストリッツァマーロン・ブランドを引き合いに出すのも頷ける。

けれど、
個人的に何よりも驚いたのは、
マラドーナ教という宗教が存在していることだ。
作品のところどころにマラドーナ教の教徒によるコメントも挟まれており、
作品の終盤にはサッカー場のピッチで結婚式まで行われる。
きちんと神父がいて、
少し変わった結婚の誓いの後に
タキシード姿の新郎も
ウェディングトレスの新婦も混じって
サッカーを始める、
その展開に驚愕しながらも妙に納得してしまうのは、
やはりマラドーナがゴッドハンドを使うことができるからだろうか。

マラドーナ [DVD]

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