『私の中のあなた』

きみに読む物語』に続く、と思いきや、
間に日本未公開作品(DVDは発売済み)なるものがあった、
ニック・カサヴェテス監督最新作。


10月9日 公開
原題「MY SISTER'S KEEPER
監督:ニック・カサヴェテス
出演:キャメロン・ディアス/アビゲイル・ブレスリン/アレック・ボールドウィン

【ストーリー】
アナ、11歳。白血病の姉・ケイトを救うために、ドナーとして“創られて”生まれてきた。
ケイトに生きて欲しい−その想いは、家族みんな同じだと疑わなかった母・サラは、ある日、信じられない知らせを受ける。「もう、姉のために手術を受けるのは嫌。自分の体は、自分で守りたい」と、アナが両親を訴えたのだ。
病気と闘いながらも幸せだった家族に訪れた、突然の出来事。いったい何故、アナは突然大好きな姉を救うことをやめる決意をしたのか?アナの決断の裏には、驚くべき真実が隠されていた−。

配給:ギャガ・コミュニケーションズ
2009年/アメリカ/110分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSR・ドルビーデジタル・SDDS
(C) MMIX New Line Productions,Inc.All Rights Reserved.

公式サイト http://watashino.gyao.jp/

もはや「ジョン・カサヴェテスの息子」という冠が必要ないほどの
ヒットメーカーになりつつあるニック・カサヴェテス
丁寧に分かりやすく物語を語るニックの作風は、
父=ジョンの影を追う観客には物足りず、
熱心なジョン・カサヴェテスのファンからは批判されることも多い。

けれどそれも仕方ないだろう。

ジョン・カサヴェテスが残した功績はあまりに大きく、
映画的価値の大改革でも起こらない限り、
彼を越える映画人はもう現れないかもしれないのだから。

それでも、
父=ジョンの血の臭いは確実に受け継がれていると思える瞬間が、
息子=ニックの作品にも、娘=ゾエの作品にもある。
特に撮影時の役者へのスタンスや暖かな視線、
役者が見せるフッとした時の自然な佇まいなど、
やはり「カザヴェテス」なのだと思わせる。

本作品でも役者の佇まいが良い。
特にキャメロン・ディアスは、
これまでの多くの作品で見せてきたコミカルな役柄とは全く違う表情を見せる。

「泣ける」が大きなウリ文句になっている本作品だが、
数多のハリウッドスタジオ大作のように、
観客に媚びる大仰な演出はない。
物語をひとつひとつ丁寧に紡ぎながら、
悲劇と喜劇を同時に描き込んでいく、
ニック・カサヴェテスの手腕は充分に評価すべきだ。

私の中のあなた [Blu-ray]

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