『正義のゆくえ I.C.E.特別捜査官』

ハリソン・フォード主演最新作。
意外なことに面白かった。
大仰なハリウッド映画かと思いきや、
メジャースタジオ作品ではなくて、
しかも、
ハリソン・フォードがメジャースタジオ製作以外の作品に
出演するのも初めてとのこと。


9月19日 公開
原題:「Crossing Over」
監督・脚本:ウェイン・クラマー
出演:ハリソン・フォード/レイ・リオッタ/アシュレイ・ジャド

【ストーリー】
ロサンゼルス−南北アメリカの国境近くに、東洋と西洋が交差するこの街には、夢を追ってきた若者、一家で移住してきた家族、そして無断で国境を越えてきた不法就労者まで、あらゆる人種が集まってくる。マックス(ハリソン・フォード)は移民局I.C.E.に所属するベテラン捜査官。不法滞在者の取締りが任務だが、正義感が強く良心的なために、彼らの立場に同情的だ。母親の逮捕後に取り残された幼い子供が気になってメキシコに送り届けるなど、つい彼らの面倒をみてしまう。そんなある日、同僚の捜査官の妹が殺される。遺品の服に偽造グリーンカードを発見したマックスは、独自に調査を始めるのだが・・・。

配給:ショウゲート
2008年/アメリカ/113分/カラー/シネマスコープ/SRD・SDDS・DTS
(C)2008 The Weinstein Company, LLC All Rights Reserved.

公式サイト http://seiginoyukue.jp/

移民問題を主題にした作品で、
民族もバラバラな7組の物語が同時進行していくのだけど、
「主演」と冠されているハリソン・フォードが直接関わるの問題は、
そのうち2組のみ。
あとは、それぞれの登場人物が
物語の進行に従って互いに関係していく。

なので一応、主演はハリソン・フォードなのだが、
実際は連作短編のような群像劇に近い。

7組の物語がそれぞれに絡み合っていく
「物語の構造」が幾層にも設定されていて、
脚本として良くできている。
もしかしたら、
この多層構造の妙技に騙されているのかもしれないが・・・。

本作品で描かれる7組の物語は、
やや突飛な部分もあるが、
9・11以降のアメリカであれば
現実に起こっているのではないかと思わせる。
そしてその結末も、
「みんな幸せ」でも「みんな不幸」でもない、
それぞれの物語がきちんと提示されていて、
脚本・監督を務めるウェイン・クラマーの心意気を感じる。

「ジャック・ライアン」シリーズ以降、
出演作に恵まれなかったハリソンフォードの久々の快作。

けれど、本作品には重大な欠点がある。

邦題が悪い。
どうしてこんな安易なタイトルになったのだろうか。
誰か止める人は居なかったのだろうか。
いくら何でもこの邦題は酷いだろう。