『ポー川のひかり』

エルマンノ・オルミ監督の最新作。
でも、監督作品ですぐに思い浮かぶタイトルが、
木靴の樹』と『聖なる酔っぱらいの伝説』だけだった。
2作品とも大好きな映画だ。
他に何があったかなとプロフィールを見たら、
オムニバス作品『明日へのチケット』の一編も撮っていた。
もともとはドキュメンタリー作家らしく、
当然、ドキュメンタリー作品の方が多い。
また、劇映画でも日本公開されていない作品もあった。


8月1日 公開
原題「Cento Chiodi」
監督・脚本:エルマンノ・オルミ
出演:ラズ・デガン/ルーナ・ベンダンディ/アミナ・シエド/ミケーレ・ザッタラ

【ストーリー】
イタリアの古都ボローニャ。夏休みに入った人気のない大学の図書館で、大量の古文書が太い釘で床に貫かれるという衝撃的な事件が起きる。容疑者として浮かび上がったのは、事件直後に忽然と姿を消した若い哲学教授だった。教授は全てを捨てて、光あふれるポー川を遠くさかのぼり、岸辺の廃屋に住み始める。そして彼をその風貌から「キリストさん」と呼ぶ、素朴な村人との交流をとおして、生の息吹を蘇らせ、真実を見いだしてゆくー。

配給:クレストインターナショナル
2006年/イタリア/94分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーデジタル
(C)2006 cinema11undici-Rai Cinema

公式サイト http://po-gawa.net/

物語の根幹が新約聖書であるため、
解説がないとピンとこない部分があることも事実。
けれど、
聖書の学術的研究や知識を否定して、
対人間、人との交流の中から生まれる幸福を描いた本作品の主題は、
宗教に関係なく、充分に普遍的内容になっている。
作品自体も良い映画だと思うし、
監督の息子でもあるファビオ・オルミによる映像も綺麗。
それでもやはり、
キリストの話であるが故に
イタリア国内では賛否が別れたらしい。

個人的には、
本作品が最後の長編劇映画になると、
エルマンノ・オルミ自身が公言していることが残念でならない。
これからはドキュメンタリー作品を撮っていくとのこと。
2009年7月で78歳になるエルマンノ・オルミ
気が変わるかもしれないし、
もう1本くらい新作が観られることを期待したい。

ポー川のひかり [DVD]

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