『山形スクリーム』

もう、バカバカしいったらありゃしない。
想像以上にドタバタな、竹中直人監督最新作。
もちろん最初から「本気でバカバカしい映画を作る」と言って
制作された本作品を、
これまでの竹中直人作品と同じ視点で観ることほど
愚かなことはないのだが、
まさか、ここまで「バカバカしい」とは・・・。


8月1日 公開
監督:竹中直人
出演:成海璃子/AKIRA/マイコ/竹中直人/沢村一樹

【ストーリー】
都立紅女子高校歴史研究会の美香代、宙子、圭、胸恵は、顧問の勝先生と共に落ち武者の里として知られる山形県・御釈ヶ部村へ。ヘンテコなその村では、ちょうど落ち武者の霊が眠るといわれる祠を倒すイベントの真っ最中。村の床屋・三太郎が「たたりに会うぞ!」と騒ぐも呆気なく却下。無惨にも掘り起こされた祠からは、本当に落ち武者たちが復活してしまう。村人たちを次々と襲う落ち武者たち。そして、その侍頭・葛貫忠経が生前愛していた官女・光笛の瓜二つの美香代までさらってしまう。生き残った女子高生たちと三太郎は美香代を救うべく恐怖の落ち武者たちと壮絶なる闘いに挑むのだが・・・!

配給:ギャガ・コミュニケーションズ
2009年/日本/116分
(C) 2009映画「山形スクリーム」製作委員会

公式サイト http://yamagatascream.gyao.jp/

いわゆるチョイ役を含めて
かなり豪華なキャスティングになっている。
なかには「いいのか?この役で」と
いらぬ心配をしてしまう配役もあり驚いてしまう。
しかも、皆が楽しそうに演じている。

一応、主軸となるストーリーはきちんとある。
だが、ほぼ全編で
竹中直人のあのハイテンションで“ドクトク”なギャグを、
あらゆるキャストが連発していて、
ストーリーどころではなくなってしまう。

竹中直人のギャグが苦手な人にはツライかも。

けれど、物語の後半になると要所要所で
きちんとしたホラーアクションになっていたりして、
それはそれで面白かったりもする。

プレスシートによると、
企画段階でのプロデューサーの意向は、
「女子高生をターゲットにした女子高生が主人公のホラー映画」
とのこと。
でも正直、
この作品を女子高生が観て楽しめるのだろうか、と
疑問が残る。
知り合いに女子高生はいないので、
女子高生一般の中での
竹中直人のポジションというのが良く分からない。
まだ純粋な「ホラー映画」なら観るかもしれないが、
ホラー映画を踏み台にした「竹中直人色おバカ映画」という、
一般的にも決して敷居が低くないであろうこの作品を
素直に受け入れることができるのだろうか。

もし映画に、
作品のテーマとか、
シーンの意味とか、
作者の主張とか、
芸術主義といった
面倒臭いモノを必須として求めるのであれば、
この作品は観ない方がいい。

そして、もし、
竹中直人の“ドクトク”に全てを委ねる覚悟があるならば、
絶対に観るべきだ。
竹中直人が違う世界に連れて行ってくれる。

ちなみに個人的には、
竹中直人作品の密かな常連キャストでもある、
照明技師 安河内央之氏に全てを持って行かれた感がある。
あの役どころは卑怯です。

山形スクリーム(2枚組) [DVD]

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