『ノウイング』
こんな腰から砕け落ちるようなムチャクチャな映画、
久しぶりに観た。
よくもまあ、こんな物語で作品を製作しようと思ったものである。
7月20日 公開
原題「KNOWING」
監督:アレックス・プロヤス
出演:ニコラス・ケイジ/チャンドラー・カンタベリー/ローズ・バーン/ララ・ロビンソン【ストーリー】
始まりは、50年前の小学生たちが埋めたタイムカプセル。現代の小学生ケレイブは、そこに収められていた、小学生たちが書いた未来図の中から、偶然数字の羅列されたメモを持ち帰った。彼の父親で大学教授のジョンは、その数列を解析して激しく動揺する。9・11同時多発テロをはじめとする多くの被害者を出した惨事が、そこに予言されていたのだ。さらに驚くべきことに、そこにはこれから先に起こる災害も予告されていた。多くの犠牲者を出すであろう、これらの予言は旅客機の墜落や地下鉄事故というかたちで相次いで現実となる。そして最後に記されていたのは人類の滅亡に関わる一大事だった。配給:東宝東和
2009年/アメリカ/2時間2分
(C)2009 Summit Entertainment,LLC.All Rights Reserved.公式サイト http://www.knowing.jp/
ここ数年でディザスター・ムービーと呼ばれるようになった種類の映画が、
ハリウッド大作だけでも毎年数本公開されている。
けれど、そのほとんどを観たことがない上、
どれもあまり良い評判を聞いたことがない。
ところが何を思ったのか、
たまにはこういう映画も観てみようと、
本作品を観に行った。
監督がレックス・プロヤスだったことも大きな理由だ。
アレックス・プロヤスといえば『クロウ/飛翔伝説』だ。
『ダークシティ』も決して嫌いではないが・・・。
『アイ・ロボット』に至っては観ていない。
たぶんこれから先も観ないだろう。
そして本作品。
もうアレックス・プロヤスに『クロウ/飛翔伝説』を求めてはいけないのだろうか。
胡散臭い伏線は散見したものの、
謎解きのサスペンスやオカルト的要素で語られる前半は結構面白かった。
が、物語がラストに近づくにつれ、
そのあまりに無謀な展開に開いた口が塞がらなくなってしまった。
多くのディザスター・ムービーと呼ばれる作品が、
これでもかと広げた物語の風呂敷を畳むことができずに
破綻しているであろうことは、
作品を観るまでもなく容易に想像できる。
実際、この手の物語を収束できる結末など、そうそうありはしない。
大局としての物語ではなく、
その中で語られる主人公たちの物語が成功していれば、
作品として成立するだけだ。
けれど時々、
大局の物語の結末を語ろうとする作品がある。
そしてそのほとんどの作品が、
物語の結末も、主人公たちの物語も語ることができないまま、
一方的な哲学だけを残して終わっていく。
本作品もそんな作品の一つとなってしまった。
でも改めて思い返してみると、
昔から地球や人類の危機を描いた作品は、
だいたいどれも似たような物語だったかもしれない。
現在よりもはるかに稚拙だった当時の特撮技術は、
どんなに胡散臭く一方的な結末でも受け入れることができる懐の深さがあった。
けれど現在のCGによる映像は、
そんな物語の胡散臭さを許せる隙がない。
どこまでも派手に広げることができるようになった風呂敷を
綺麗に畳められる物語の結末などというものが、
世界に対する諦観以外に存在するのだろうか。
このまま新しい物語の結末を発明できない限り、
個人の中でしか物語は成立しないであろう。
なんか、現実の世界が地球規模で抱えている問題みたいだ。
こんな結論に辿り着いてしまうあたり、
実はこの作品、スゴイ作品なのかもしれない。
でも、一娯楽作品として観ると、
腰から砕け落ちます。
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