『バーン・アフター・リーディング』

コーエン兄弟の最新作は、
前作『ノーカントリー』からガラリと雰囲気を変えて、
ダメ人間たちが繰り広げるクライム・コメディ。
これがムチャクチャ楽しかった。


4月24日 公開
原題「Burn After Reading」
監督・脚本・製作:ジョエル・コーエン/イーサン・コーエン
出演:ジョージ・クルーニー/フランシス・マクドーマンド/ブラッド・ピット/ジョン・マルコビッチ/ティルダ・スウィントン

【ストーリー】
ある日、ワシントンのフィットネスセンター更衣室で、CIAの機密情報が書き込まれた1枚のCD-ROMが見つかる。フィットネスセンターの従業員であるチャドは、CD-ROMを利用して一攫千金を狙おうと膨大な計画を思いつく。同僚のリンダもまた、このチャンスに念願だった全身整形の費用を稼ごうと浮かれ、その完璧とは程遠い計画に賛同する。
一方、CD-ROMの持ち主であったケイティは、財務省連邦保安官のハリーとダブル不倫満喫中。彼女は夫である元CIA局員のオズボーンとの離婚を有利に進めるため、夫のパソコンに入ったあらゆる情報をCD-ROMにコピーしていた。しかし、あろうことか、手渡した弁護士が、チャドの働くフィットネスセンターで紛失していたのだった。
それを知る由もない当人のオズボーンは、自分の記録した機密情報が何故か他人の手に渡っていることを聞かされ狼狽し・・・。
さらにケイティと不倫の仲にあるハリーは、出会い系サイトで日々女あさりに没頭。多数の女性と重複交際する中、なんとあのリンダと出会い、意気投合してしまう。
そんな5人が・・・。

配給:ギャガ・コミュニケーションズ/日活
2008年/アメリカ/96分/カラー/ビスタサイズ/DTS、ドルビーデジタル、SDDS
(C) 2008 Focus Features LLC.All Rights Reserved.

この作品に登場するキャラクターたちは、
本当にくだらない幼稚な欲求で行動を起こす。
偶然手に入れたCIA機密をネタにした恐喝に失敗したら、
今度はその機密をロシア大使館へ売りつけようとする。
それも全身整形手術のための費用欲しさのためにだ。
あげく、その情報には価値がないときてる。
そんな登場人物たちが互いに複雑に絡み合いながら、
誤解が誤解を生み、
軽率な行動が事態をどんどん混乱させ、
収拾がつかなくなっていく。
もうおバカすぎて、逆に愛しくなってくる。

出演している俳優たちも、
本当にこんな役柄でいいの?
といらぬ心配をしてしまうくらいのおバカぶり。
コーエン作品3本目のジョージ・クルーニーや、
ジョエル・コーエンの奥さんであるフランシス・マクドーマンドはともかく、
ジョン・マルコビッチティルダ・スウィントン
そして特筆すべきは、
ブラッド・ピットのハッチャけぶりである。
しかも出演者の中でいちばん楽しそうなのもブラッド・ピットだ。

ノーカントリー』も決して嫌いではないが、
昨年のアカデミー作品賞他4冠を受賞した後に、
これだけの豪華キャストを集めて、
こんなにも愛しいおバカキャラばかりの映画を作ろうと思う
コーエン兄弟が何よりも素敵だ。
しかもティルダ・スウィントン以外の役はオファー前から当て書きしていたとのこと。

ステキすぎデス、ジョエル&イーサン・コーエン

役者のちょっとした仕草や表情、
画面に映っている細かいところまで、
これから何度も何度も見返したくなる作品。

バーン・アフター・リーディング [Blu-ray]

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