『レイチェルの結婚』

ここ数年、名前を聞かないと思っていたら、
ドキュメンタリー作品を何作か撮っていたという、
ジョナサン・デミの久しぶりの劇場用長編作品。


4月18日 公開
原題「RACHEL GETTING MARRIED」
監督:ジョナサン・デミ
出演:アン・ハサウェイ/ローズマリー・デウィット/ビル・アーウィン/デブラ・ウィンガー

【ストーリー】
レイチェルの結婚式に参加するため、キムを始めとする、多くの友人たちや親戚がご馳走と音楽と愛にあふれた週末を過ごそうと集まってくる。トラブルメイカーのキムは痛烈な皮肉で、長い間くすぶり続けてきた家族の緊張関係を触発し、バックマン家の人々は、長年に渡る家族間の軋轢、そして問題と向き合うことになる。

配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2008年/アメリカ/112分/ビスタサイズ/SDDS、ドルビーデジタル、ドルビーSR


公式サイト http://rachel-kekkon.jp

何よりもキャスティングがすばらしい。
多くの映画賞で受賞やノミネートをしている本作品。
主演のアン・ハサウェイはもちろん、
姉役のローズマリー・デウィットも良い。
そしてこれまた久しぶりの映画出演だろうか、
デブラ・ウィンガーの母親役も印象深い。

さらに脚本家デビューとなるジェニー・ルメット。
現役の教師でもある彼女は、
かのシドニー・ルメットの娘とのこと。

本作品で描かれているのは、
過去に忘れられない事件を抱えている家族の心の模様。
長女の結婚式という幸福な時間の中で
見え隠れする家族の不協和音。
それまで各々がしまい込んできた事件に対する感情が、
ともに時間を過ごすことで、
避けられない障害となって表面化していく。
そうして過去に光を当てることで見えてくる未来は、
避けられぬ「家族」という半ば強引な理由で収束する。
そんな「家族の肖像」は、国や文化を越えて普遍的であり、
その中でも同じ時間を過ごしてきた姉妹の在り方に感動する。

監督曰く、
「今まで作られた中でいちばん美しいホーム・ビデオ」
を目指したとのこと。
役者が脚本を元に自身の役柄を膨らませて、
時にはアドリブを交えながら、リハーサルなしで演じる。
カメラは手持ちで役者の芝居を追いかける。
簡単なように思えるが、
役者にとっても、監督やカメラマンにとっても、
尋常ではない集中力と確かな技術が必要になる。
本作品を成功させたのは、
役者たちもさることながら、
ここ数年でドキュメンタリー作品を製作しつづけた、
ジョナサン・デミの力量なのだろう。