『ミルク』

同性愛者であることを公表して
アメリカで初の公職に就いた
ハーヴィー・ミルク。
彼がサンフランシスコに移り住んでから、
政治活動に携わり、
殺害されるまでの8年間を描いた作品。


4月18日 公開
原題「MILK」
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ショーン・ペン/エミール・ハーシュ/ジョシュ・ブローリン

【ストーリー】
1972年のニューヨークで、ミルクは20歳年下のスコット・スミスと恋に落ちる。2人はサンフランシスコに移り住み、自由な空気のカストロ地区で小さなカメラ店を開く。やがてミルクは同性愛者、有色人種、シニア層など社会の弱者の“声”を伝えるべく政治の世界へ・・・。1977年サンフランシスコの市政執行委員選に4度目の出馬で、念願の当選。マイノリティを支援する条例を実現するための行動を推し進める。しかし、翌1978年、敵対する市政執行委員の凶弾に倒れた。追悼に集まった市民たちが灯した幾万のろうそくの輝きは、今でも多くの人に“希望”の光をともしている。
彼の人生最後の8年間、いったい何があったのか・・・。

配給:ピックス
2008年/アメリカ/128分/カラー/ビスタサイズ/ドルビーSR
(C) 2008 FOCUS FEATURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

公式サイト http://milk-movie.jp/

正直、ガス・ヴァン・サントという監督には
あまり思い入れがない。
初期の作品は好きだったが、
『サイコ』あたりからは観なくなり、
『エレファント』以降は、一応観ているが。
確かに上手い監督だと思うし、
物語を必要以上に誇大化せずに
ひとつひとつ積み重ねていくスタイルは嫌いではない。
けれど、何というか、
その優等生っぽさが、あまり好きではないらしい。

で、本作品だが、
『エレファント』以降の作品の最終進化系みたいな作品。
細部に至るまで丁寧に作られているし、
当然のことながら、上手い。
また、主演ショーン・ペンの演技も、
「名演」を絵に描いて額に入れて飾ったように
誰にでも理解できる熱演で、
好き嫌いは別として、素直にスゴイと思う。

けれども本作品の本当の魅力は、
非常に多くの人々の好意と熱情の下に製作されたことで、
「幸福な映画」のオーラのようなっものが、
作品全体からあふれ出ていることだと思う。

ミルクが殺害されたのは1978年。
当然、ミルクの側近や
直接の関係者の多くはまだ生きており、
現在も様々な形で政治活動を続けている人も多い。
作品の制作時の約束事として、
「この企画のために事実を包み隠さず語り、参加を希望する人たちがいれば採用を惜しまない」
という項目があったとのこと。
当時の状況を再現すべく、
脚本はもちろん、撮影現場まで多くの関係者が参加しており、
役者として参加している関係者も多い。
また、ミルクと直接関係のない協力者も多数参加していて、
そんな、年齢も性別も性的嗜好も越えて集まった人々の
ハーヴィー・ミルクへの「想い」が素直に伝わってくる、
希有で幸福な作品。

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