『花の生涯〜梅蘭芳〜』

1993年のカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した
さらば、わが愛 覇王別姫』の監督チェン・カイコーが、
再び京劇界を描いた作品。
さらば、わが愛〜』はフィクションだったが、
本作品は実在した梅蘭芳の半生記。
ちなみに『覇王別姫』という演目は、
梅蘭芳が創作・上演した京劇の傑作とのこと。


3月7日 公開
原題「梅蘭芳/Foever Enthralled」
監督:チェン・カイコー
出演:レオン・ライ/チャン・ツィイー/スン・ホンレイ/チェン・ホン/安藤政信

【ストーリー】
京劇の名門に生まれ、その才能に恵まれた梅蘭芳(メイ・ランファン)は若くして女形のスターへ登りつめていた。海外で文化を学んだ邱如白(チウ・ルーパイ)は、彼の舞台に心を奪われ地位も家も捨てて梅蘭芳と義兄弟の契りを交わす。歌い手だった福芝芳(フー・チーハン)と結婚し、邱のアドバイスを受けてさらに円熟味と輝きを増す梅蘭芳の舞台。そんな彼の前に現れたのが、京劇界きっての男形女優、孟小冬(モウ・シャオトン)だった。瞬く間に惹かれ合うふたり。彼女の存在によって京劇界から一線をおくようになった梅蘭芳を引き戻すため、邱と芝芳はあらゆる方法でふたりを引き離そうとするのだった。一方、1930年日本軍の中国侵攻が進むなか、梅蘭芳はニューヨーク公演を行う。その日に渡された一通の手紙−そこには小冬の切ない想いが綴られていた。

配給:アスミック・エース/角川エンタテインメント
2008年/中国/147分/シネマスコープ/ドルビーデジタル

公式サイト http://meilanfang.kadokawa-ent.jp/

優等生映画。
衣装や美術は至高品だし、映像も綺麗。
国民的名優であっても舞台を降りれば一人の男であるにも関わらず、
周りから舞台人として生かされる主人公、梅蘭芳の物語はもちろん、
彼を導く邱如白の梅蘭芳への愛憎劇にも、充分に感銘を受ける。

でも、意外と語るべきことがない作品。
映画ならほぼ何でも観ていた当時、
さらば、わが愛〜』は結構好きだったけど、
最近はあまり好んで観るジャンルではないからだろうか。

日本軍の中国侵攻など、歴史的にも変動の時代である上、
梅蘭芳にとっても激動の半生期を描いているためか、
147分とやや長尺ながらも比較的テンポ良く物語は進む。
そのテンポの良さは、どうやら監督の意図らしい。
「映画全体のリズムも軽快なものにし、忙しない現代人の生活に合わせています。」
とのことだが、そんな理由もどうかと思う。

チャン・ツィイーが孟小冬役で出演しているため、
梅蘭芳と孟小冬の報われない愛の物語
であるように取り上げられているが、
本作品の本当の主人公はスン・ホンレイ演じる邱如白だと、
勝手に思っている。