『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』

ベンジャミン・バトンが生まれて死ぬまでと、その後の物語。良い映画だと思うのだが、全体的に物語が散漫で、何となくスッキリしない。決して寓話として描かれていないのだが、物語のスタイルが「読み聞かせ」なので、どうしても寓話っぽくなってしまっている。
80歳相当の体の状態、白内障で耳が遠い上関節も弱く、肌の張りもない皺だらけで生まれたベンジャミン。成長とともに体も若返っていくのだが、それ以外は普通の人と同じように人生を経験していく。
彼が生涯で想い続けた女性、デイジー。死を目前に病床につく彼女は娘にベンジャミンが残した日記を読むように頼む。娘が読み聞かせるベンジャミンの日記にデイジーの記憶を織り交ぜながら、約1世紀に及ぶ物語は進められる。幼くして出会った二人は、互いを意識しながらも別々の人生を歩み、再会と別離を繰り返していく。
一応ベンジャミンが主人公であり、ベンジャミンとデイジーを中心に物語が進められるのだが、彼が生涯で出会う多くの人々についても印象深く描かれており、作品自体が非常に多角的な視点を持っているため、観る人によって感情移入できる人物や状況が変わると思われる。個人的には、デイジーに惹かれた。そして、ベンジャミンが書き残した日記の続きを語るデイジーの物語に感動を覚える。

2月7日 公開
原題「THE CURIOUS CASE OF BENJAMIN BUTTON 」
監督:デビッド・フィンチャー
出演:ブラッド・ピット/ケイト・ブランシェット/タラジ・P・ヘンソン/ジュリア・オーモンド/ジェイソン・フレミング/イライアス・コーティーズ/ティルダ・スウィントン/ジャレッド・ハリス/エル・ファニング/マハーシャラルハズバズ・アリ
原作:F・スコット・フィッツジェラルド

【ストーリー】
生まれてすぐに捨てられたベンジャミンに、無償の愛をくれた育ての母。外の世界へ飛び出し、誘われるまま乗った船で仕事をくれた船長は「自分の信じる道を進め」と教えてくれた。異国で出会った女性との初めての恋、初めてのくちづけ。第二次世界大戦で共に戦い、夢半ばで散った男たちと結んだ絆、名乗り出た実の父の死…ベンジャミンは自分に与えられたさまざまな機会をすべて受け入れ、そこで出会った人々と深くかかわっていくことに、生きる意味を見出していく。

配給:ワーナー・ブラザース映画
2008年/アメリカ/167分/シネマスコープ/SRD・DTS・SDDS
(C)2008 Paramount Pictures Corporation and Warner Bros. Entertainment All Rights Reserved.

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 [Blu-ray]

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