『ワールド・オブ・ライズ』

何も特筆すべきことのない、よくある「ハリウッド・メジャースタジオ映画」。ズバ抜けて面白いところもないが、顔をしかめるほどにヒドくもない。
まあ、リドリー・スコット作品なので安心して観れるし、主演の二人もブレない役者なので、ヘタな冒険をしてよく分からない映画を観るよりは、無難に楽しめる。そういった意味でも「お正月映画」としては合格。
原題は「BODY OF LIES」。CIA工作員として身分を隠し、必要に応じて別の人物に扮し、大小さまざまな嘘を建前に相手との駆け引きを行う。もちろん恋人にも職業を偽り、素性を知っている同僚ですら、互いの事情により嘘をつく。「情報」のために他者はもちろん仲間を犠牲にすることもある。良心の呵責やモラルといった自己の感情(内面)と、いくつもの嘘で作り上げた複数の対外的な実体(外面)。日頃我々も自身の心を守るために、対外的な嘘をついて生きているが、彼らは心と乖離した嘘の体で生きている。心と体の不一致に苦悩しながらも自身の信念を持って行動する主人公と、信念のために努力して心を捨てた上司。けれど、主人公が信念よりも心で行動したとき、彼の立場と周囲との関係は大きく変動していくことになる。
でもスパイ・アクション作品としての色が強いので、楽しんで観ることができるが、ただそれだけになってしまっていて、日本語タイトル「ワールド・オブ・ライズ」の方が内容に合っているように思えて、残念でもある。

12月20日 公開
原題「BODY OF LIES」
監督:リドリー・スコット
出演:レオナルド・ディカプリオ/ラッセル・クロウ/マーク・ストロング

【ストーリー】
世界を救おうとする2人の男。CIA工作員のロジャー・フェリスと、彼の上司であるベテラン局員、エド・ホフマンだ。フェリスは、世界中の情報網の中枢に侵入し、現場を知らな上司にキレながらも、命を張って働く男。一方のホフマンは、平和な自宅や安全な本部から電話一本で命令し、部下の意見は無視する冷酷な男だ。そんな生き方も考え方も違う2人の目的はひとつ。爆破テロ組織のリーダーを捕まえること。しかし、勝手な裏工作に走るホフマンのせいで、正体不明のその男の足跡さえ見つけられない。もはや彼をおびき出せるのは、「世界一の嘘」だけだ。フェリスとホフマン、そして他国の諜報部の、息もつけない頭脳戦が始まった!

配給:ワーナー・ブラザース映画
2008年/アメリカ映画/128分/シネマスコープサイズ/SRD/DTS/SDDS
(C)2008 Warner Bros. Ent. All Right Reserved

ワールド・オブ・ライズ [Blu-ray]

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