『ブロークン・イングリッシュ』

ジョン・カサヴェテスの娘、ゾエ・カサヴェテスの長編初監督作品とのこと。10年くらい前に彼女の監督作品としてDVDが発売されていたと記憶しているが、短編か何かだったのだろうか。未見なので詳細は分からない。父親の名前が冠として付くことから逃れられない兄弟だが、本作品は好感のもてる佳作。
同じく映画監督を父の持つソフィア・コッポラの名前が宣伝に担ぎ出されているが、二人は親友同士で一緒に仕事をしていた時期もあるとのこと。ともに若手女性監督という枠に括られるが、二人の作風は似ているようでかなり違う。
ニック・カサヴェテスの、どちらかといえばソツなく作り上げる作品とは違い、荒削りではあるが、人の感情の深部を描き出そうとしており、血筋を感じさせる。それでも「カサヴェテスの娘」という贔屓目で観てしまい、本作品が無名監督の初監督作品であったら、ここまで取り上げられることもないだろうと思う。
素直な感想は「荒削りだけど、佳作」という当たり障りのないもの。「カサヴェテスの娘」であるだけに、今後の作品にも期待したい。どんな形態であっても、新作が国内で紹介される限り、私は観続けます。


12月13日 公開
原題「Broken English」
監督・脚本:ゾエ・カサヴェテス
出演:パーカー・ポージー/メルヴィル・プポー/ジーナ・ローランズ

【ストーリー】
ノラ・ワイルダー、30代独身。ニューヨークのホテルでVIP対応として働いている。親友は結婚し、母親はことあるごとに自分の心配をする。男性と付き合おうとすれば失敗する・・・。
そのままの自分を愛してくれる人に出会いたい、でももう誰からも愛されないかもしれない。揺れ動く気持ちさえ、日常にかき消されてしまう。そんなある日、魅力的なフランス人、ジュリアンに出会う。情熱的に、ストレートに気持ちをぶつけてくる彼に心を奪われながらも、失敗して傷つくことを恐れ、距離を置こうとするノラ。そしてやっと自分の気持ちに正直になり始めたとき、ジュリアンから「パリへ帰る」と宣言されてしまうのだった。キャリアや日常を捨てることができず、パリへの誘いも断ってしまうノラだったが・・・?

配給:ファントム・フィルム
2007年/アメリカ=日本=フランス合作/98分/ビスタサイズ/ドルビーSRD
(C)2007 HDNET FILMS LLC

ブロークン・イングリッシュ [DVD]

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