『建築学概論』

韓国で恋愛映画としては異例の大ヒットとなった“初恋”もの。まあ、なんともやりきれない感傷的な気持ちにしてくれる作品。とくにイイ歳を過ぎたオッサンの心には深く響くらしい。学生時代の過去と時を経た現在の二つの物語を平行して描いてゆくスタイルからは、近年では『サニー 永遠の仲間たち』や『横道世之介』にも共通する印象を覚えるが、本作は何よりも岩井俊二監督作品『Love Lettre』を想い出す。ともに学生時代の“初恋”ものであり、その物語構成や露出オーバーな映像など連想する部分は多い。ただ物語設定もカメラワークも『Love Lettre』ほどトリッキーではないが。今となってはもどかしい学生時代の“初恋”物語と、再会した二人が家の改修工事の時間に乗せて15年の空白を埋めてゆく物語を、丁寧に重ねて紡いでゆく脚本が良い。そして何よりも、学生時代と現在それぞれのスンミンとソヨンを演じた役者2組4人が圧倒的に素晴らしい。また学生時代のスンミンに恋のアドバイスをするナプトゥク役のチョ・ジョンソクの好演も強く印象の残る。これから先、折に触れ幾度となく観ることになるであろう作品。


5月18日 公開
監督・脚本:イ・ヨンジュ
出演:オム・テウン/ハン・ガイン/イ・ジェフン/スジ/チョ・ジョンソク/コ・ジュニ
撮影:チョ・サンユン 美術:ウ・スンミ 編集:キム・サンボム/キム・ジェボム 音楽:イ・ジス

【ストーリー】
建築学科に通う大学1年のスンミンは、“建築学概論”の授業で音楽学科の女子学生ソヨンに出会い、一目で恋に落ちた。しかし、恋に奥手なスンミンはなかなか告白できないまま、小さな誤解からソヨンと遠ざかってしまう。それから15年後、建築士になったスンミンの前に、ソヨンが突然現れ、家を建てて欲しいと言う。その建築の過程で次第に明らかになるソヨンの素性。そして、よみがえる記憶と新たに生まれる温かな感情。しかしスンミンには婚約者がいた。

配給:アット エンタテインメント
2012年/韓国/117分/韓国語/カラー/シネスコ/ドルビーSRD
(C)2012 LOTTE ENTERTAINMENT All Rights Reserved.

公式サイト http://www.kenchikumovie.com


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