『世界にひとつのプレイブック』 - T_J

『ザ・ファイター』に続くデヴィッド・O・ラッセルの最新作。企画は『ザ・ファイター』の前から進行していた作品とのこと。精神障害を抱えた主人公二人のラブストーリーでもあることから“喪失と再生の物語”とか感動的なヒューマン・ドラマの印象も強いが、思いのほかストレートなロマコメだったりする。そんな前作とは趣向の全く違う物語でありながらも共通するのは、出演者たち皆が素晴らしいこと。とくに主人公たちの家族や彼らを取り巻く町の人々の下世話さが楽しい。物語の骨格だけ見ればある種の定番な主人公二人のストーリーに彼らが無遠慮に踏み込んでくることで、物語の面白味の振り幅を最大限に広げてみせる。このあたりのバランス感覚というか、物語のメインストーリーへのまぶし具合が絶妙で、監督の手腕に感嘆する。主演二人が素晴らしかったことはもちろん、個人的に印象深いのはロバート・デ・ニーロだ。近年ではどこにでも出てくるデ・ニーロだが、久しぶりに名優デ・ニーロを感じた気がする。

2月22日公開
原題：SILVER LININGS PLAYBOOK
監督・脚本：デビッド・O・ラッセル
出演：ブラッドリー・クーパー/ジェニファー・ローレンス/ロバート・デ・ニーロ/ジャッキー・ウィーヴァー/クリス・カッター
原作：マシュー・クイック「シルバーライニングス・プレブック」　音楽：ダニー・エルフマン　撮影：マサノブ・タカヤナギ　編集：ジェイ・キャシディ　美術：ジュディ・ベッカー　衣装：マーク・ブリッジス
【ストーリー】
妻の浮気が原因で心のバランスを崩したパットは、家も仕事も妻も、すべてを失くしてしまう。今は実家で両親と暮らしながら、社会復帰を目指してリハビリ中だ。何とか妻とヨリを戻したいパットは、彼女の理想の男になろうと努力するが、妻は接近禁止命令を解いてくれない。そんな時出会ったのが、近所に住むステファニー。愛らしい姿からは想像もつかない、過激な発言と突飛な行動を繰り出す彼女に、振り回されるパット。実は彼女も事故で夫を亡くし、心に傷を抱えていた。パットの手紙を妻に渡すことと交換条件に、ティファニーはパットにペアでダンスコンテストに出場するよう命令する。人生に希望の光を取り戻すための、ふたりの挑戦が始まった！
配給：ギャガ
2012年/アメリカ/123分/シネスコ/カラー/ドルビーデジタル、ドルビーSR、SDDS/字幕翻訳：稲田嵯裕里
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公式サイト　http://playbook.gaga.ne.jp