『LOOPER/ルーパー』

ブルース・ウィリスジョセフ・ゴードン=レヴィットが30年を隔てた同人物を演じ対面共演することも話題なタイムトラベルSF作品。全米公開前からの高い前評判に違わず、これは面白かった。監督は長編3作目となるライアン・ジョンソンでオリジナル脚本も手がける。監督デビュー作『BRICK ブリック』(2005)に続くジョセフ・ゴードン=レヴィットの主演は監督のあて書きによる配役とのこと。
タイムトラベルを題材にした映画はSFに限らず、その変種も含めて数多く製作されており、マスターピースとなる傑作も多い。そんな中でSF映画としてタイムトラベルをストレートに扱い、かつ大胆な物語を展開させてみせたライアン・ジョンソンの脚本と演出に驚く。幾つかのタイムトラベルSF映画の傑作を思い出すが、それら過去のマスターピースを超えたとは思わないまでも充分に比肩する作品だと思う。物語の細かな事情についても、設定はあるのだろうが、必要以上に説明されないストーリーテリングも素晴らしい。今回のヒットを受けて、きっと今後そこから広げられた続編も製作されてゆくことになるのだろうか。そんな想像も楽しめるような、何度も繰り返し観たくなるすてきな作品。
蛇足ながら、近年人気急上昇中のジョセフ・ゴードン=レヴィットだが、今作品では30年後を演じるブルース・ウィリスへ外見も近づけるため特殊メイクをしていて、少し顔つきが違う。彼の容姿を堪能することを第一義とすると物足りなさや違和感を感じる人たちも一部にでてくるかも。もちろんそれを超えてなお充分に余りあるだけの面白みを持った作品だと思うので、あくまで余談として。

【追記】
「2013年の現在から約30年後の2044年を舞台に、世情が一変したさらに30年後の世界からタイムマシーンで“ワケあり”の人物が送り込まれてくる。そして今回送り込まれて来たのは主人公の30年後の自分。しかも“ある目的”を持って」という物語からマスターピースターミネーター』のタイトルが上がってくることは否めない。実際にこの手の物語で『ターミネーター』を超える作品は今もないだろう。今回の『LOOPER/ルーパー』が『ターミネーター』を超えたとは思わないが、充分に手が届くところに到達していることは間違いない。もしかしたら数年後には肩を並べているかもしれないとも思う。


1月12日 公開
原題:LOOPER
監督/脚本:ライアン・ジョンソン
出演:ブルース・ウィリス/ジョセフ・ゴードン=レヴィット/エミリー・ブラント/ポール・ダノ/ノア・セガン/パイパー・ペラーボ/ジェフ・ダニエルズ
撮影監督:スティーブ・イェドリン プロダクション・デザイナー:エド・ヴァリュー 編集:ボブ・ダクセイ 音楽:ネイサン・ジョンソン

【ストーリー】
近未来。タイムマシンは開発されていたが、その使用は禁じられ、犯罪組織のみが悪用していた。彼らは、証拠を残さず敵を消し去りたいとき、30年前に転送する。“ルーパー”と呼ばれる暗殺者の元へ。凄腕ルーパー、ジョーの元に、ターゲットの抹殺指令が入る。それは、いつも通りの単純なら仕事のはずだった。だが、送られてきたのは“30年後の自分”。引き金を引くことを躊躇ったジョーの不意をつき、未来から来た“自分”は街へと消えていく。「奴を殺さなければ、自分が消される!」必死に追跡する現代のジョー。ようやく未来の“自分”を追いつめたとき、彼がこの時代へ来た、驚くべき理由が明かされる。男が過去にまで来て変えようとしているものとは?謎多き未来の独裁者“レインメーカー”とは一体?

配給:ギャガ/ポニーキャニオン
2012年/アメリカ/118分/シネスコ/ドルビーデジタル、ドルビーSR/字幕翻訳:松浦美奈
(C)2012 LOOPER DISTRIBUTION, LLC.ALL RIGHTS RESERVED

公式サイト http://looper.gaga.ne.jp

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2012-4th/looper/

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