『ライク・サムワン・イン・ラブ』
母国イランを離れて製作された『トスカーナの贋作』に続くアッバス・キアロスタミ最新作の舞台は日本。一日に満たない時間の中で語られる物語で、監督の「私の映画は始まりがなく、終わりもない」との言葉通りに、始まりはともかく突然終わる。場合によっては必要と思われる説明もないまま淡々と語られる物語は、どこへ向かっているのかも、どこで終わるのかも分からず、ただ静かに緊張感だけが漂う。物語のセオリーに則って観れば問題も多い。例えば導入部で語られるエピソードは、ほぼそのまま放置されたりしていて、作品の賛否が分かれていることも当然と思われる。それでも個人的にはこの不安定な緊張感が気持ちよかった。高梨臨の好演が光る。
9月15日 公開
原題:Like someone in love
監督・脚本:アッバス・キアロスタミ
出演:奥野匡/高梨臨/加瀬亮/でんでん/森レイ子
撮影:柳島克己 編集:バーマン・キアロスタミ 美術:磯見俊裕 録音:菊池信之【ストーリー】
80歳を超え、現役を引退した元大学教授のタカシは、亡妻にも似た一人の若い女性明子を、デートクラブを通して家に呼ぶ。整えられたダイニングテーブルには、タカシによってシャンパングラスと桜海老のスープが準備されているが、まどろむ明子は手をつけようともしない。明子はむしろ、彼女に会うためにいなかから出てきた祖母と会えなかったこと、駅に置き去りにしてきたことが気にかかっている。翌朝、明子が通う大学まで車で送ったタカシの前に、彼女の婚約者だというノリアキという青年が現れる。ノリアキはタカシを明子の祖父と勘違いする。運命の歯車が廻りだす。配給:ユーロスペース
2012年/日本・フランス/109分/DCP/1:1.66
(C) mk2 / eurospace
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