『最強のふたり』

本国フランスで歴代2位の興行成績を収め、日本でも東京国際映画祭でグランプリ、フランス映画祭で観客賞と、作品の間口の広さとクオリティの高さを確約してみせる、笑いと感動に満ちた傑作。若くして出会った二人の共同監督作品で今回が4作目にして日本初公開。それぞれの日常に閉塞していた、年齢も立場も環境も違う二人が出会って唯一無二な友情を育んでゆく、実話の映画化。
現在はモロッコに住むフィリップ本人の「映画化するなら、コミカルに描いて欲しい。この話はユーモアを込めてこそ、真実に近づく」という意向を受けて書かれた物語は、下手なヒューマンドラマに着地させずに身体障害や失業を品よく笑いへ転化させる。フィリップの全身麻痺をからかうドリスの無遠慮さと垣間見える誠実さがフィリップを財産目当ての親族や周囲の同情から解放し、同時にドリスを育った悪環境の負の連鎖から救い上げてゆく。マイノリティを笑ってみせることで二人を同等化させて主従を越えた友情物語へと進展させてゆく語りの手腕が見事で感嘆する。しかも終盤における主人公二人の立ち位置の確かさに、安い涙を誘うような“あざとさ”がないことも好印象。主演二人が素晴らしく、劇中幾度と繰り返されるテーマ曲が耳に残る。


9月1日 公開
原題:UNTOUCHABLE
監督・脚本:エリック・トレダノ/オリヴィエ・ナカシュ
出演:フランソワ・クリュゼ/オマール・シー/アンヌ・ル・ニ/オドレイ・フロール/クロティルド・モレ
撮影:マチュー・ヴァドピエ
音楽:ルドヴィコ・エイナウディ
編集:ドリアン・リーガル=アンスー

【ストーリー】
事故で全身麻痺となり車いす生活を送る富豪フィリップは、新しい介護者面接にやってきた場違いな黒人青年ドリスに興味を持つ。不採用通知3つで出る生活保護手当を目的にやってきたドリスだが、まさかの採用に。そこから始まった異文化2人のセット生活。高級住宅地とスラム、ショパンクール&ザ・ギャング、洗練された会話と下ネタ。二人の世界は衝突し続けるが、やがてお互いを受け入れ、とんでもなくユーモアに富んだ最強の友情が生まれていく。ところが…。

配給:ギャガ
2011年/フランス/113分/35mm/カラー/ビスタ/ドルビーデジタル、ドルビーSR/翻訳:加藤リツ子
2011 SPLENDIDO/GAUMONT/TF1 FILMS PRODUCTION/TEN FILMS/CHAOCORP

公式サイト http://saikyo-2.gaga.ne.jp/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2012-3rd/saikyo-2/

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