『マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙』

タイトル通りマーガレット・サッチャーの物語だが、サブタイトルである『鉄の女の涙』が示すように、この作品は偉人伝でもなければ社会派ドラマでもなく、サッチャーという一個人に焦点を当てて描いている。それは脚本家アビ・モーガンが語る「王となった人間が権力を失うのはどういうことなのかを追求してみたい」という言葉が象徴している通り、華やかな政治の世界から脱却し、現在は認知症を患うサッチャーの孤独を、これでもかと見せてゆく。その様が痛々しく、サッチャーへ思い入れなく感情移入できずとも、最後まで見入っていまう。サッチャー役のため単身でイギリスへ赴いたメリル・ストリープのまるでモノマネのように外観から役を作り上げてゆく様は圧巻。こういった彼女のアプローチには好き嫌いが分かれるだろうし、私自身も以前は大嫌いだったが、最近はこれも役者としての技術のひとつなんだと妙に納得している。3度目のアカデミー賞主演女優賞を受賞した、まさにメリル・ストリープのための映画。

 

3月16日 公開
原題「THE IRON LADY」
監督:フィリダ・ロイド
出演:メリル・ストリープ/ジム・ブロードベント/アレキサンドラ・ローチ/ハリー・ロイド/オリヴィア・コールマン

【ストーリー】
「臆病な男たちが言えないことを、誰かが言わなければならない」男社会で、男たちを牛耳り、数々の政策を導入した彼女は、英国を永遠に変える。フォークランド紛争での勝利、労働組合制度の改革、低迷する経済の立て直し、3度の総選挙を乗り切り、一時は73%の支持率を誇り、英国の、いや世界の歴史に名を残した。だが、そんな彼女にも、妻、そして母としての顔があり、老いが訪れていたのだった。

配給:ギャガ
2011年/イギリス/105分/カラー/シネスコ/ドルビーデジタル/字幕翻訳:戸田奈津子
(C)2011 Pathe Productions Limited, Channel Four Television Corporation and The British Film Institute

公式サイト http://ironlady.gaga.ne.jp/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2012-1st/ironlady/

マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 コレクターズ・エディション [Blu-ray]

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