『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』

マーベル・ヒーロー大集合映画『ザ・アベンジャーズ』まで遂にリーチとなった今作では、サブタイトルにある通り最初のヒーロー “キャプテン・アメリカ”誕生を描く。
監督は『スター・ウォーズIV〜VI』でデザインと視覚効果美術監督を務め、後に『ロケッティア』や『ジュラシック・パークIII』を監督したジョー・ジョンストン。『マイティー・ソー』でのケネス・ブラナーに続いて今回もなかなかの意外なスタッフィングに思えたけれど、これが予想をはるかに越えて素敵な効果を生んでいる。
物語は第二次大戦を背景としているが、史実をベースにして全く違う世界を 構築しており、いわばパラレルワールドのような時空間で物語が語られてゆく。特に科学的考証は完全に無視していて、当時は(現在も)存在しえないような近未来的装置や小道具が多く登場して、それはそれで楽しい。
もちろんマーベル作品に限らずアメコミ作品の大概が同じような仮想世界と架空装置で成り立っているわけだが、こと『キャプテン・アメリカ〜』において感嘆するのは、その仮想世界を成立させるためのプロダクションデザインの秀逸さである。作中に登場する架空の装置や武器がキチンと1940年代の美観を踏まえたっぽいデザインになっていて、当時の実在の文化と混在させるための調和と違和感の絶妙なバランス具合が素晴らしい。特にナチスから離れて私軍と化したレッド・スカル率いるヒドラ党の「禍々しさ」と「格好良さ」の表裏一体なビジュアルには、それだけでワクワクさせられる。
冒頭にも書いたように、『キャプテン・アメリカ〜』で誕生したキャプテン・アメリカの物語は時代を越えて現代を舞台に、アイアンマン、ハルク、ソーと合流して次作『ザ・アベンジャーズ』へと続く。もちろんマーベル過去作を観ていた方が『キャプテン・アメリカ〜』を楽しめる要素は多い。けれど本作だけでもヒーロー誕生物語として充分に成立しているので、過去作を全く観ていなくても楽しめると思う。それでももし可能であるならば『アイアンマン』だけでも事前に観ていた方が良い。アイアンマンが1940年代から現代へ世界と時間をつなぐ大きな役割を果たすことになるので。さらに余裕があるなら『インクレディブル・ハルク』も観ておいて欲しい。
蛇足ながら、すでに通例となっているエンドクレジット終了後の余談が『キャプテン・アメリカ〜』でもあります。

 

10月14日 公開
原題「CAPTAIN AMERICA: THE FIRST AVENGER
監督:ジョー・ジョンストン
出演:クリス・エヴァンス/トミー・リー・ジョーンズ/ヒューゴ・ウィーヴィング/ヘイリー・アトウェル/セバスチャン・スタン/ドミニク・クーパー/トビー・ジョーンズ

【ストーリー】
1942年。兵士として不適格とされた病弱なスティーブは、軍の極秘計画「スーパーソルジャー実験」に志願し、まるで別人の姿へと生まれ変わる。パワー、スピード、身長等あらゆる身体能力が極限化され、正義感に溢れる魂もまた極限まで高められていた。しかし政府は彼を兵士として認めず、星条旗デザインのコスチュームを着させ、“キャプテン・アメリカ”という名の軍のマスコットに仕立てる。国中の人気を集めるものの、仲間である兵士達からは相手にもされなかった。そんな中、親友の所属する隊が全滅の危機に。実戦経験もないまま無断で仲間の救出に向かうスティーブ。だが彼の前に強大な敵が立ちはだかる。ナチス化学部門《ヒドラ党》の支配者レッド・スカルが、かつてないエネルギー源で世界侵略を企てていた。彼もまたスーパーソルジャーだったが、野心を極限まで凶悪なものへと変貌させていた。大軍を率いるヒドラ党に挑む“キャプテン・アメリカ”は、果たして本物の英雄になれるのだろうか?

配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
2011年/アメリカ/124分/7巻/カラー/シネマスコープ/DTS/SRD/SDDS/SR(シアンダイ)
(C)2010 MVLFFLLC. TM &(C)2010 Marvel Entertainment, LLC and its subsidiaries. All rights reserved.

公式サイト http://www.captain-america.jp/

ミニパラ http://www.minipara.com/movies2011-3rd/captain-america/

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