『マイティー・ソー』
マーベルのヒーロー大集合作品『アベンジャーズ』へ向けて着々と新キャラ・シリーズを重ねてゆくマーベルスタジオ最新作。今回は北欧神話をベースにした神様ヒーローの物語。
実はこの原作コミックスのことはまったく知らなかった。アメコミに詳しくないこともあるが、それでもマーベルの主役キャラクターについてはその外観だけでも見知っていたものが多かったため、少し意外なキャラクターだった。
7月2日 公開
原題「THOR」
監督:ケネス・ブラナー
出演:クリス・ヘムズワース/ナタリー・ポートマン/トム・ヒデルストン/ステラン・スカルスガルド/コルム・フィオール/レイ・スティーヴンソン/イドリス・エルバ/カット・デニングス/浅野忠信/レネ・ルッソ/アンソニー・ホプキンス【ストーリー】
神の世界<アスガルド>で最強の戦士であったソー。しかし、強すぎるあまりその身勝手さから、神の世界を戦乱の危機に巻き込んでしまった。神々の王で父であるオーディンはその行為に怒り、ソーの力と最強の武器“ムジョルニア”を奪い、地球へと追放する。神から見捨てられ、地球へ落ちてしまった男ソーは、そこで天文学者ジェーンと出会う。慣れない人間生活をおくっていたソーだったが、ジェーンと接することで徐々に人間の痛みや弱さを知るようになっていく。一方、神の世界の征服をたくらむ邪神ロキの陰謀により、ソーのもとに凶悪な敵が送りこまれようとしてた。力を失い、最強の武器まで奪われてしまったソーの前に現れた強敵。大切なジェーンに迫る危機。故郷・神の世界を襲う脅威。神を失格となったオレ様“ヒーロー”が、二つの世界<人間と神>を救うべく、遂に目を覚ます。配給:パラマウント ピクチャーズ ジャパン
2011年/アメリカ/115分/7巻/カラー/シネマスコープ/DTS/SRD/SDDS/SR(シアンダイ)
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そしてそれ以上に意外だったのは本作品の監督がケネス・ブラナーだったことだ。ケネス・ブラナーと言えばシェイクスピア劇という印象しかないし、実際に監督作品のほとんどはシェイクスピア戯曲でもある。ちなみに前作はシェイクスピア戯曲ではない『スルース』(2007年)という作品だったが、これも原作は舞台戯曲だった。そんなケネス・ブラナーがアメコミ原作のアクション大作を監督するというのだから驚きだった。
ところが果たして、この『マイティ・ソー』という物語はまさにケネス・ブラナーな作品であった。神世界の王位継承をめぐる兄弟の確執とその兄弟に秘められた因縁、そして彼らを導こうとする王である父の想い。そんな古典戯曲にはいくらでもありそうな物語をケネス・ブラナーが堅実に描いてゆく。それはケネス・ブラナーの十八番芸であり、その部分においては安心して観ることができた。
けれどケネス・ブラナー監督、アクション演出にはあまり興味がなかったのか、ドラマパートとアクションパートが乖離しているような印象を受けた。ソーが神の力を失っている時の肉弾戦は良かったけれど、神の力を使ったアクション描写は平坦で面白味に欠ける。その意味ではこれまでのマーベルスタジオ作品と比べて、全体的にバランスの悪い作品になってしまっているように思える。
とはいえ前述したように、主人公ソーの王位継承者としての苦悩と成長の物語としてはとても面白かったし、神の力を失って地球に落ちてからのカルチャーギャップ演出やナタリー・ポートマン演じる天文学者ジェーンとの交流パートも楽しめた。
蛇足ながら、例によってエンドクレジット終了後に次作『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』への布石となるオマケ映像が続いている。
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