『SPACE BATTLESHIP ヤマト』

この作品を劇場で観ることには直前まで躊躇していたけれど、ソフト化されてからテレビ画面で観るのもキツそうだなと思ってスクリーンで観ることにした。公開前から様々な評判を聞いていたし、もちろん公開されてからの各所での感想も目にしていたので一切の期待をせずに鑑賞。


12月1日 公開
監督:山崎貴
出演:木村拓哉/黒木メイサ/柳葉敏郎/緒形直人/池内博之/マイコ/堤真一/高島礼子/橋爪功/西田敏行/山崎努

【ストーリー】
西暦2194年。外宇宙に突如現れた正体不明の敵・ガミラスによって投下された遊星爆弾により、人類の大半は死滅してしまう。5年後、西暦2199年。地球は遊星爆弾の放射能によって汚染され、生き残った人間は地上を逃れ、地下で生活していた。かつてエースパイロットとして活躍した古代進も、いまは軍を退いていた。あるとき彼はイスカンダル星から放たれた通信カプセルを発見し、その星には放射能除去装置が存在することを発見する。地球防衛軍は最後の宇宙戦艦ヤマトを建造し、最後の希望=放射能除去装置を手に入れるため、遥かイスカンダルへ向けて出発する。地球滅亡までわずか1年。いま、古代たち乗組員の壮絶なる戦いが始まった。

配給:東宝
2010年/日本/2時間18分/シネマスコープ/ドルビーデジタル
(C)2010 SPACE BATTLESHIP ヤマト 製作委員会

公式サイト http://yamato-movie.net/index.html

まず大前提として私自身は「宇宙戦艦ヤマト」という作品に対する思い入れはほとんどない。もちろん子供の頃は何となくではあるが見ていたしプラモデルも買っていたけれど、内容はあまり把握していなかった。ストーリーも全シリーズがシャッフルされていてどのエピソードが何作目なのか、現在に至っても不明瞭な状態。その後十代後半に劇場版だけをまとめて見直しているが、作品全体を支配する安易な自己犠牲精神に辟易しただけだった。それでもヤマトが土塊の中から発進するシーンには興奮していた。
で今作となるのだが結論から言えば、鑑賞前の想像を良い方向に越えたものは何もなかった。木村拓哉相変わらず木村拓哉でしかなかったし、物語に高揚できるような要素もなかった。けれど前述したように一切の期待を持たずに観たことは奏功したようで、怒りにコブシを握ることもなく淡々と鑑賞できた。それが本作品との接し方として幸福なことなのか不幸なことなのかは判らない。
正直言えば、ヤマト発進のシークエンスにはわずかではあるが期待していた。そこさえきちんと盛り上げて描いてもらえれば、物語がどんなに陳腐だろうがSF描写が何かのパクリだろうが、許容できたように思う。けれど今作でのヤマト発進シーンは、思っていた以上にあっさりと描かれていたのが残念だった。本当にそれだけのために観に行ったと言っても過言ではなかったのに。