『キック・アス』

アメコミ原作の映画化。その内容の過激さから製作費が集まらず独立資金で製作、完成後もハリウッド大手スタジオの配給がつかないまま全米公開され、初登場第1位の快挙を遂げている。アメリカ公開時より一部では常に話題になっており、日本公開されないのではとの心配もあったが、こうして日本公開されることは喜ばしい限りである。


12月18日 公開
原題「KICK-ASS」
監督:マシュー・ヴォーン
出演:アーロン・ジョンソン/クロエ・グレース・モレッツ/クリストファー・ミンツ=プラッセ/ニコラス・ケイジ

【ストーリー】
NYに住むデイヴ(アーロン・ジョンソン)は、コミックオタクでスーパーヒーローに憧れる平凡な高校生。ある日、インターネットで買った自前のスーツとマスクを身に付け、自分もDIYヒーローとして街で活動を開始する。何の特殊能力も武器も持たない彼は、初出動のときにあっさり犯罪者にやられてしまうが、懲りずにパトロールを再開。その時の活動の動画が見物人によって撮られ、やがて「キック・アス(Kick-Ass)」の名で街中に知られるようになる。だが、街のパトロールをしていたのは彼だけではなかった。キック・アスは高度な訓練を受けた父娘デュオ、「ヒット・ガール(クロエ・グレース・モレッツ)」と「ビッグ・ダディ(ニコラス・ケイジ)」に出会い、街の犯罪帝国を仕切るフランク・ダミコを倒すため共に戦っていこうとする。

配給:カルチュア・パブリッシャーズ
2010年/アメリカ・イギリス/117分/カラー/35mm/ドルビーデジタル/R15+
(C)KA Films LP. All Rights Reserved.

公式サイト http://www.kick-ass.jp/index.html

すでに各種メディアで紹介されており、そのほとんどで高い評価を得ているため、今さら語りたいことも特にない、というのが素直な感想。あえて言うならば、鑑賞前にこれ以上の情報を収集せず、過度の期待を持たずに観て欲しいと思う。作品自体は充分に面白いし、観れば楽しめることに間違いはない。だからとて10年に一本の大傑作ということでもない。普通より少しだけ楽しい娯楽作品なのだから。

それでもなお本作品について語りたくなるのは、ごく普通の高校生がその正義感だけでコスチュームに扮してヒーローを気取ったことを起点にして展開する物語の楽しさであり、そして何よりもクロエ・グレース・モレッツ演じるヒット・ガールの痛快さであろう。主役はアーロン・ジョンソンキック・アスであるはずなのに、作品の主要部分を11歳の少女がかっさらってゆくのだから楽しい。

そんなヒット・ガールの存在の重要さは、日本公開用のチラシ・ポスターデザインにも反映されていてキック・アスを押しのけてヒット・ガールが中心になっておいる。さらには日本語タイトルデザインにもヒット・ガールがコラージュされている。気持ちは分かるが、少しやりすぎな印象も拭えない。そんなことは作品にとっては些末なことではあるけれど。

また冒頭に内容が過激と書いたが、セリフに多くのスラングが含まれていることと、11歳の少女がマフィアを次々と殺しまくる描写があるためで、極端なエクストリーム表現があるわけではない。なので日本語字幕で鑑賞する分には過激という印象は薄く、多くの人がエンターテイメント作品として楽しむことができると思う。アメコミ映画が嫌いな人や食わず嫌いしていた人にも、ぜひ観て欲しい作品。


ミニパラ
http://www.minipara.com/movies2010-4th/kick-ass/

キック・アス Blu-ray(特典DVD付2枚組)

キック・アス Blu-ray(特典DVD付2枚組)