『トスカーナの贋作』

@東京フィルメックス 特別招待作品

2011年2月 公開予定
原題「Certified Copy」
監督:アッバス・キアロスタミ
出演:ジュリエット・ビノシュ/ウィリアム・シメル

【ストーリー】
イタリア、南トスカーナの小さな町アレッツォで、「贋作」という著作を刊行したばかりのイギリスの作家ジェームズ・ミラー(ウィリアム・シメル)の講演が行われている。講演を聞きに来ていた女(ジュリエット・ビノシュ)は空腹の息子にせがまれ、途中で外に出るが、その際に、会場にいた翻訳者にそっとメモを手渡す。その後彼女は、息子に「電話番号を教えていたのは、ジェームズと恋人同士になりたいから?」「目がハートになっていたよ」とからかわれる始末。しかし、メモが功を奏し、自分の経営するギャラリーにジェームズを招き入れた彼女は、近くにある中世の遺跡や美術品の宝庫である美しい町ルチニャーノへドライブに誘う。

2010年/フランス・イタリア合作/106分/35mm/カラー/1.85:1/ドルビーSR

アッバス・キアロスタミの劇場用長編作品としては『風が吹くまま (1999年)』以来となる本作品。主演は本作品でカンヌ国際映画祭 主演女優賞を受賞したジュリエット・ビノシュと映画初出演となるオペラ歌手ウィリアム・シメル。ほぼ全編がふたりの会話劇となっている。始めて出会った二人がレストランで夫婦に間違えられたらことをキッカケに、それまでの会話の上に夫婦の会話を混ぜて仮初めの夫婦を演じ始めたことから、虚実がないまぜになってゆく、ある種の不条理劇。この虚実の境界が徐々に曖昧になってゆくことで変化もしくは露呈してゆく二人の感情の機微が楽しい。監督によると「この二人が夫婦なのか」という問題に答えはないそうで、瞬間ごとに立場が変化する二人芝居を作品と一緒に楽しむことができるかで、本作品の印象が大きく変わってしまう。ゆっくりと作品を味わえる余裕のあるときに観たい作品。

東京フィルメックス公式サイト http://filmex.net/2010/ss02.html

東京フィルメックス
デイリーニュース 11/23 「トスカーナの贋作」Q&A
http://filmex.net/dailynews2010/2010/11/qa-3.html

東京フィルメックス
ブロードキャスト 11/23「トスカーナの贋作」Q&A
http://filmex.net/broadcast/2010/11/1123-11.html

トスカーナの贋作 [DVD]

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