『NINE』

フェリーニの『8 1/2』をモチーフにブロードウェイミュージカル化した『NINE』の映画化。少しややこしい。
そもそもミュージカル版があったことすら、映画化されるまで知りませんでした。初演は1982年。しかも翌1983年には日本版が上演されており、主演は細川俊之さんだったそうです。これはこれで少し観てみたい気もします。その後2003年にアントニオ・バンデラス主演で再演されており、今回の映画版はこの再演版がベースになっているようです。監督は『シカゴ』のロブ・マーシャルですから、もうこれだけで舞台演出に期待が高まります。が実際は、コレぞ豪華絢爛!なんだけど、それだけの作品でした。


3月19日 公開
原題「NINE」
監督:ロブ・マーシャル
出演:ダニエル・デイ=ルイス/マリオン・コティヤール/ペネロペ・クルス/ジュディ・デンチ/ファーギー/ケイト・ハドソン/ニコール・キッドマン/ソフィア・ローレン

【ストーリー】
愛を選びきれない一人の男、そんな男を愛さずにいられない女たち。
チネチッタNo.5スタジオの思い扉が開く。ひとり静かに入ってくる男。彼は天才映画監督、グイド・コンティーニ。だが面持ちはさえない。彼の周りには衣装、キャスティング、美術、会計・・・様々な人間が群がってくる。撮影開始の日も間近だが、大きな問題が横たわっていた。脚本がまだ一行も書けていないのだ!
天才の前に立ちはだかる「アイデアが思いつかない」という大きな壁。もがき苦しみながら彼が選んだ道は、自分の弱さを包みこんでくれる愛する女たちのもとに逃げ込むことだった。

配給:角川映画/松竹
2009年/アメリカ/118分/カラー/シネマスコープ/SRD、DTS
(C)2009 The Weinstein Company. All Rights Reserved.

公式サイト http://www.nine-9.jp/

『8 1/2』と『NINE』。映画としてまるで対極にあるかのように感じてしまいます。でも実は表現の方向性が違うだけで、対極同士でも丸めて輪にしたら背中合わせでした、という発想は素晴らしいと思う。
ちなみにミュージカル版と映画版でもかなり変更点があるようです。ミュージカル版ではほぼ全編が主人公グイドの夢想世界で展開してゆくらしいが、映画版では現実世界に夢想世界が挿入されるように描かれている。この現実と夢想のバランスで作品世界に入り込めずに飽きてしまう。
この作品、豪華すぎるキャスティングはもちろんだが、美術、衣装、全てが丁寧に作られています。なかでも個人的に印象深かったのは、ケイト・ハドソン錚々たる面子の中で、ちょっとビックリするくらい堂々とした歌とダンスを披露しています。それだけに。。。

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