『50歳の恋愛白書』

戯曲家アーサー・ミラーの娘であるレベッカ・ミラーが小説と同時進行で書き上げた脚本で監督も務めた意欲作。錚々たるキャストがそろった良質な小品。


2月5日 公開
原題「The Private Lives of Pippa Lee」
監督・原作・脚本:レベッカ・ミラー
出演:ロビン・ライト・ペン/キアヌ・リーヴス/ウィノナ・ライダー/ブレイク・ライヴリー/モニカ・ベルッチ/ジュリアン・ムーア/アラン・アーキン/マリア・ベロ

ピッパ・リー、50歳。年上のベストセラー作家との“結婚”を手に入れ、2人の子供を育て、完璧な妻を30年近く演じてきた。でも、そんな自分を取り巻くのは、浮気な夫、ダメ女の親友、反抗的な娘…。誰もが「理想の妻」として羨む彼女だったが、日々感じるのは型にはまった退屈で息苦しい自分。だがある日、15歳も年下のクリスとの出会いによって、ピッパは変わっていく自分を感じる。今までの自分を捨てて、新しい人生を始めるために—。いくつになっても、人は恋をしてしまうもの。悩める大人たちが手にするハッピーエンドは、今の幸せか、それとも、その先にある新しい未来なのか?

配給:ギャガ
2009年/アメリカ/98分
(C)Lam Duc Hien,Photographer (C)Central Films Sarl,Morena Films SL,BetterWide Limited,Lumiere International limited,LBF10Limite.2009,Studio Canal,All Rights Reserved.

公式サイト http://50love.gaga.ne.jp/

何よりも主人公ピッパを演じるロビン・ライト・ペンが素晴らしい。
以前から大好きな女優のひとりではあるが、本作品での彼女はこれまでとチョット違う空気をまとっている。実年齢より大幅に年上の役を演じているためだろうか。
ちなみにピッパより15歳年下のクリス35歳を演じるキアヌ・リーブスは、実年齢ではロビン・ライト・ペンよりも2歳年上。他のキャストも年齢ギャップを完全に無視した配役がされている。舞台ではよくあることだが、映画でここまで大胆なキャスティングをすることは少ない。しかもそれが成功しているのだから、監督レベッカ・ミラーの手腕と俳優たちの力量にただ敬服してしまう。

かなり観客を限定してしまいそうな日本語タイトルだし、宣伝方針やストーリーも主人公ピッパと年下のクリスとのラブストーリーが中心であるように思えてしまう。けれど実際にはピッパの半生を回想を交えながら描き、さらに未来を手探りで求めていく女性の物語になっていて、クリス以外の人々との関係もきちんと描き込まれている。少年以外ならば性別や年齢を問わず、それぞれに感じられるところのある作品だと思う。それは言い換えれば、これから5年10年後に今より年齢を重ねてからもう一度この作品を観たときに、全く違うところに感応できる可能性と懐の広さを持っているとも言える。
もとろん、それはどんな物語でも同じだろうが、本作品のように人間を丁寧に描いた物語ではその傾向が特に顕著で、後々まで「隠れた佳作」として語られ続けていくだろう。

50歳の恋愛白書 [DVD]

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