『ソラニン』全2巻 (浅野いにお著 小学館刊)
知らない作家の、知らない漫画を読みたくて、
売場を徘徊して手に取った作品。
「この限りなく不透明なイマを生きる、僕らの青春狂想曲−
社会人2年目、種田と芽衣子の
楽しくもせつない、小さな恋の物語−」
「気だるい平和。ダラッとつづく日常。
川の流れる街。大人になっていく僕ら−」
(裏表紙より)
まあ、面白かったのだが、
「物語」としては、よくある青春群像劇。
大学を卒業後、
就職したり、フリーターだったり、家業を手伝ったり。
でも大学時代のバンドも続けていて・・・。
そんな彼らの日常と不安や希望を丁寧に描いた良作。
この頃(2005年〜2006年連載)から、
こういった雰囲気の漫画が増えた気がする。
青年漫画にはなかった、ゆっくりしたスピードで感情が語られ、
でも少女漫画のように、感情だけで物語が語られない、
そのどちらにも分類できないような作品。
登場人物たちの、
どうしようもない孤独や寂しさと同時に描かれる、
どうしようもなくくだらないギャグや小ネタ。
意図的か無意識か、
そんな、悲劇と喜劇が同時に存在している作品。
火付け役は
羽海野チカの『ハチミツとクローバー』だと
勝手に思っている。
そしてこの作品も確実にその血を引いている。
帯に書かれているような「珠玉作」だとは思わないが、
それでも充分に良質な作品だった。
現在刊行中の『おやすみプンプン』は
また随分と雰囲気の違うシュールな作品ぽいので、
近々買ってみようと思う。
- 作者: 浅野いにお
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2005/12/05
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