『彼が二度愛したS』

つまらなくはないのだけれど、正直、面白くもない、普通のサスペンス映画。ヒュー・ジャックマンが脚本に惚れ込み、自身の設立した製作会社の第一回作品として製作された作品とのことだが、彼がこの作品の何にそれ程まで惚れ込んだのか、理解に苦しむ。
電話一本で男女ともに一夜限りの相手に出会える、毎日深夜まで働くエグゼクティブのための会員制秘密クラブ。そんな世界を描いていることにそれ程の衝撃もないし、クラブが実在していたとしても、あまり驚かない。
「官能とスリルが交錯するラブ・サスペンス」とのことだが、そのどれもが中途半端に並列しており、突出したものは特に見当たらない。ベッドシーンは数多くあるが別に官能的ではないし、原題である「DECEPTION:詐欺」が示すスリルとかサスペンスと言うほどの巧妙で狡猾な犯罪も行われず、ただのセコい泥棒話でしかない。邦題「彼が二度愛したS」に望みを託して、残るラブに活路を見いだせれば良いのだが、これもまた中途半端。結局、いろんな要素を盛りつけただけの、一応サスペンス映画になってしまっている。
毎日深夜まで働き多忙な時間を割いてまで観る作品ではない。大型連休中に、お酒を片手に観るには良いかも。


11月8日 公開
原題「DECEPTION」
監督:マーセル・ランゲネッガー
出演:ヒュー・ジャックマン/ユアン・マクレガー/ミシェル・ウィリアムズ/シャーロット・ランプリング/マギーQ

【ストーリー】
NYの孤独な会計士ジョナサンは、ある日弁護士のワイアットと出会い、NYエグゼクティブのためだけに存在する会員制秘密クラブ“リスト”を知る。電話で「Are You Free Tonight ?」と合言葉を告げるだけで、男女共に夜の相手と出会えるのだ。ジョナサンは美しく優雅な女たちとのホテルでの一夜限りの情事にハマっていく。そんなある日、以前地下鉄で見かけ、一目惚れした、名前が“S”から始まることしか知らない、ミステリアスな女性と“リスト”で再会し、本気の恋に落ちていく。やがて心のつながりを求めあい始めた二人だったが、彼女は突然ホテルから姿を消し、ベッドには血痕が−。それがワイアットの仕掛けた罠の始まりだった−。
秘密クラブ“リスト”とは? 消えた“S”の行方は? そしてワイアットの正体とはー。
巧妙な罠に堕ち、全ての逃げ道を閉ざされたジョナサンは、愛する女性を取り戻す為、人生最後の賭けに出る。

配給:ショウゲート
2007/アメリカ/108分/35mm/カラー/スコープ/SRD
(C)2007 The Tourist Pictures, LLC. All rights reserved.

彼が二度愛したS [DVD]

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