『僕らのミライへ逆回転』

 コメディ映画は個人的にあまり楽しめないため、観ないのだが、本作品は「映画」に対する愛情であふれていて、非常に楽しかった。映画をハンドメイドでリメイクするという発想がふざけていて良い。過去に学生映画などで既存映画のパロディ作品に関わったことがある人であれば、この楽しさは充分に伝わると思う。また、経験がなくても「この程度でよいのなら」と、自分の好きな映画のリメイク作品を作ってみたくなる、そんな作品。実際、アメリカのオフィシャルサイトにはオリジナル・リメイク作品の一般投稿ページもあるとのこと。
 また、後半における物語の落としどころも無難だが、良い。もちろん物語のほとんどはご都合主義で展開してゆくのだが、そこはドタバタコメディの特権であり、そのドタバタ具合が気持ちよい。
 一応、作中でリメイクされる多くの作品のオリジナルは観ていなくても充分楽しめると謳われているが、もちろん観ていた方が絶対に楽しい。せめて「ゴーストバスターズ」「ロボコップ」「ドライビングMissデイジー」「ラッシュアワー2」だけでも、作品を全く知らない人は事前に観ておくか、ストーリーだけでもチェックしておくことをお勧めする。
 なお、原題である「BE KIND REWIND」とは、「(ビデオ返却の際に)巻き戻しておいてもらえると助かります」という多くのビデオレンタル店で用いられた、DVD世代にはピンと来ないであろうフレーズ。


10月11日 公開
原題「BE KIND REWIND」
監督・脚本・製作:ミシェル・ゴンドリー
出演:ジャック・ブラック/モス・デフ/ダニー・グローヴァー/ミア・ファロー/シガーニー・ウィーヴァー

【ストーリー】
何かとトラブルを引き寄せるジェリーとつぶれそうなレンタルビデオ店の店員マイクは幼なじみ。ある日突然、店のビデオから映像が消えてしまう事件が発生!なんと発電所で感電し、強力な電磁波を帯びてしまったジェリーが全ビデオをダメにしてしまったのだ!?慌てたふたりは、自作自演で『ゴーストバスターズ』『ライオン・キング』など消えた名作・旧作を作りなおすはめに!自前のイラストを描いた段ボール製の背景に、アルミホイルや家電製品を体に巻きつけた特製ロボットスーツなどで、自由に映画をリメイクするふたり。驚くことにその手作りビデオは大好評で、たちまち店は大繁盛。再開発で閉店を迫られている店長を救おうと、ふたりは町の人々も巻き込んで次々作品を作り出す。だが、ハリウッドのビジネスマンたちが黙っているわけもなく・・・。

配給:東北新社
2008年/アメリカ/101分/ドルビーSR/シネスコ
(C)Newline Productions / Junkyard Productions