『ジェシー・ジェームズの暗殺』

 正直なところ、アメリカ時代劇(西部開拓や南北戦争など)に特別な思い入れもなく、もちろんアメリカで生まれ育ったわけでもないので、ジェシー・ジェームズやロバート・フォードに関する知識もないし、アメリカ国民にとって彼らがどのような存在なのかも知らない。おそらく日本人にとっての坂本竜馬新撰組赤穂浪士などのように史実や言い伝えに基づく部分以外は推測を加えて、幾度も語り重ねられてきた物語なのだろうと想像はできるが、それでも作品の入り口としてはやや敷居の高さを感じてしまう。
 とはいえ観てしまえば、主人公二人の心理劇に魅せられるし、主演二人の役柄に対する尋常でない気合も、充分すぎるほど伝わってくる。製作も兼任するブラッド・ピットの為の映画と言っても過言ではないが、本作におけるケイシー・アフレックの台頭を、どこまで見越していたのか興味もある。
 脚本・監督であるアンドリュー・ドミニクはオーストラリアでの長編第一作を経て本作でハリウッドでビューと思われるため、彼の作家性などは不明だが、主演二人の充分すぎる気合を非常に美しい映像に昇華させた、撮影監督 ロジャー・ディーキンスの功績は大きい。

1月12日 公開
原題「The Assassination of Jesse James by the Coward Robert Ford」
監督・脚本:アンドリュー・ドミニク
出演:ブラッド・ピット/ケイシー・アフレック/サム・シェパード/メアリー=ルイーズ・パーカー/ポール・シュナイダー/ジェレミー・レナー/ズーイー・デシャネル/サム・ロックウェル、/ギャレット・ディラハント

【ストーリー】
アメリカで最も有名な無法者のひとりであるジェシー・ジェームズ(ブラッド・ピット)。彼に略奪され、脅された人々にとって、彼は単なる犯罪者かもしれないが、1870年代を通じて、新聞や三文小説は"ジェシー・ジェームズ"の行為をセンセーショナルに書きたてた。その中で彼は畏敬と称賛の的だった。貧しい庶民を食い物にする鉄道会社のオーナーや銀行を狙うロビン・フッドのようなイメージで描かれていたからだ。堅苦しい平凡な人生を送っていた人々にとって、彼は西部開拓時代の自由とアメリカ的精神を象徴する最後の男だったのだ。時は1881年ジェシーは34歳。次の強盗を計画している最中にも、彼は自分の首に賭けられた賞金と名声を手に入れようとする敵との戦いに明け暮れていた。だが、真の脅威は意外なところに潜んでいたのだった…。

配給:ワーナー・ブラザース映画
2006年/アメリカ/160分
(C)2007 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC.

ジェシー・ジェームズの暗殺 [DVD]

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