『ジャンゴ繋がれざる者』 - T_J_Newton’s パンタージャ

タランティーノの最新作はアメリカ南北戦争直前の時代劇をマカロニ・ウエスタン調で、さらに黒人奴隷制をモチーフに描くという、これまでありそうでなかった(？)キレッキレの西部劇。西部劇に奴隷制を盛り込んだことや、奴隷制を安いヒューマニズム的視点で語らずに、その暗部を執拗なまでに描き出したことへの評価も批判も当然にあってしかるべきだとは思う。掘れば重いテーマだが、そこはタランティーノ作品、丁々発止のセリフまわしと小ネタ満載で展開される物語は健在で、タランティーノの巧妙なストーリーテリング術を堪能できる。前作『イングロリアス・バスターズ』も集大成的で大好きだったが、今作はさらに、近年のハリウッド映画ではありえない量の血が飛び散る大惨劇が続く後半など、また違ったタランティーノ色が全開で最高に楽しい。

3月1日公開
原題：Django Unchained
監督・脚本：クエンティン・タランティーノ
出演：ジェイミー・フォックス/クリストフ・ヴァルツ/レオナルド・ディカプリオ/サミュエル・L・ジャクソン/ケリー・ワシントン/ドン・ジョンソン
撮影：ロバート・リチャードソン　美術：J.マイケル・リーヴァ　衣裳デザイナー：シャレン・デイヴィス
【ストーリー】
南北戦争勃発直前のアメリカ南部。主人のもとで人間性を奪われ、妻を奪われた奴隷のジャンゴは、賞金稼ぎのシュルツと出会い、自由を与えられ、彼と共に銃の腕を磨き稼いだ金で妻を買い戻そうと決意。お尋ね者を追うアメリカ横断の旅の最終目的地は、妻が捕らえられているキャンディ・ランド。そこには残忍な若き暴君カルビン・キャンディが君臨する農園だ。ジャンゴとシュルツは奴隷商人を装いキャンディ・ランドに乗り込むが、見かけは黒人、心は白人の奴隷頭スティーブンが二人の正体を見破り！思いも寄らない一大死闘が展開する！最後に生き残るのは果たして。
配給：ソニー・ピクチャーズエンタテインメント
2012年/アメリカ/165分/スコープサイズ/全9巻/4,529m/字幕翻訳：松浦美奈/R15+
公式サイト　http://www.sonypictures.jp/movies/djangounchained/