『アーティスト』 - T_J_Newton’s パンタージャ

1920年代後半から1930年代初頭、無声映画からトーキーへ移り変わってゆくハリウッドを舞台にした映画スター盛衰の物語にラブストーリーを重ねて描くメロドラマで、全編を白黒映像とセリフのないサイレント手法で紡いでゆくフランス映画。上映時間101分、そのスクリーンと対峙する時間のすべてが至福の時間で、鑑賞後すぐにもう一度観たくなる。思えば1920年代のハリウッドにおけるサイレント映画の映像表現技法はすでに最高峰であり、そこで語られるロマンに満ちた感情表現もまた、一つの到達点に達していた。そこにはセリフに頼らないからこそ伝えられる物語の可笑しみと表裏一体の哀しみがあり、そして喜びのかたちに心酔する。

4月7日公開
原題「THE ARTIST」
監督・脚本・編集：ミシェル・アザナヴィシウス
出演：ジャン・デュジャルダン/ベレニス・ベジョ/ジョン・グッドマン/ジェームズ・クロムウェル/ペネロープ・アン・ミラー/ミッシー・パイル/アギー
撮影：ギョーム・シフマン
美術：ローレンス・ベネット
衣装：マーク・ブリッジス
音楽：ルドヴィック・ブルース
【ストーリー】
1927年のハリウッド。サイレント映画界屈指の大スター、ジョージ・ヴァレンティンは、新人女優のペピーを見初め、彼女を人気女優へと導いてゆく。強く惹かれあう二人。しかし、折しも映画産業はサイレントからトーキーへの移行期。自分は“アーティスト”であるとサイレントに固執するジョージが没落していく一方で、可愛いペピーはスターへの階段を駆け上がって行くこととなり…。
配給：ギャガ
(C) La Petite Reine - Studio 37 - La Classe Americaine - JD Prod - France 3 Cinema - Jouror Productions - uFilm
2011年/フランス/101分/白黒/スタンダード/ドルビーデジタル、ドルビーSR/字幕翻訳：寺尾次郎
公式サイト　http://artist.gaga.ne.jp