東京国際映画祭『カリファーの決断』

『カリファーの決断』(東京国際映画祭 アジアの風部門 ID上映)

インドネシア映画、もしかしたら初めて観たかもしれない。ヌルマン・ハキム監督の長編2作目。厳格なイスラム教徒の夫に様々な規律を与えられながら、自身も特段の疑問なく従っていた主人公カリファーが、やがて自身のアイデンティティに気づいてゆく物語。東南アジアや中近東の歴史や政治や宗教などをキチンと把握することは、やはりむずかしく、この作品でも理解できていないところの方が多いはず。それでも主人公が一方的で強い束縛の中からやがて自己を見いだしてゆく様は、そんな世界観に左右されず伝わってくる。ただし、物語としては全体的にややもの足りなさを感じる。なんでもセリフで説明せず映像を積み重ねてゆく心意気はステキなのだが、キャラクター設定もストーリーも平板で、後半から結末にかけての展開も何か取って付けたようで、あまり感情が高ぶることもなかった。「淡々と描く」と言えば聞こえは良いが、それとは違う隙間の多い作品でもあった。
http://2011.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=101

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村